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33

「ねーシャチ」

「なんだ?」

「トラファルガー・ローに死ねって言っといて」

「それは俺に死ねと言ってるもんじゃねェかァァ!!」

「頼んだからね」

「言うわけねェだろォ!!」

叫んでいるシャチを無視し、リーシャは先程着いたばかりの町へ降り立った。

「ムカつく、あの隈野郎!」

腹が立つ。
あいつにキスをされ、私はすぐさま平手をお見舞いした。
けれど、あっさりと手を捕まれ未遂に終わった。

悔しい悔しい悔しい!!

この鬱憤を晴らすには、どこかの海賊か賞金首を狙って狩るに限る。

今日はなんとも狩り日和だなぁ。

リーシャは早速獲物を見つけようと歩き出した。



***



「なかなか見つからないなぁ」

リーシャはてくてくと手配書と睨めっこしながら街中を歩く。

「や、やめてー!」

叫び声が聞こえ、少し前の方を見る。

「結構金持ってんぞこいつ」

「おいおい坊ちゃんかよ」


腰に武器をこさえた男達が小さな男の子を取り囲み財布を取り上げていた。

「あいつら大人げないな」


余りの理不尽さにリーシャはこめかみがピクリと反応した。

(許せない……)

これならまだハートの海賊団の方が正当化されているような気がする。

こんなことを感じるのはあのトラファルガー・ローに感化されているからなのか。

「ちょっとあんた達」



***



キンキン、と刃物がぶつかる音が路地裏に響く。


「はぁっ!」

「ぐァァ!」

「チッ、この女見掛けによらず強ェ!」

「女に負けるわけにはいかねェんだよ!」

「はぁ?差別とか今時流行らないわよ」

リーシャは鼻を鳴らす。

「さて、もうそろそろ終わりにしましょうか?」

リーシャが剣を構え直すと男達は何故かニタニタと気味の悪い笑みを浮かべ始めた。

(なに……?)

不気味に感じた途端、男達の後ろからわんさかと更に武器を持った男達が現れた。

「女一人に寄ってたかるなんて卑怯ね」

「ハッ、なんとでもいいやがれェ!」

その言葉と同時に動き出す男達。

正直言ってかなりきつい。

今でも結構な人数だった為、リーシャの体力はかなり減っていた。

(最悪っ……!)

リーシャが少し震える体を伸ばし、相手をする。

――ガン!

「うっ!」

不覚にも後ろを取られてしまった。

(やばい……!!)


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