×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
 
29

俺達は海賊だ。

だから略奪や殺し、そんなイメージを普通の人間は持っている。

もちろん嘘じゃねェ。

だが俺達が殺すのは相手がやってくるからであって正当防衛だ。

海賊がそんなことを言う権利なんてないがな。

それに略奪は、食料がなくなるとゆう危機に見舞われた時だけであってごく稀だ。

稀のはずが今その食料危機に悩まされていた。



***



「船長どうしますか」

「止むおえねぇな…」

「じゃあクルー達に伝えてきますね」

ペンギンはそう言うと俺に背を向け去っていった。

航海の期間と食料の量が合わなかったことで、あと少しで食料が底を尽きかけていた。

となれば、海賊である俺達がすることは一つ。

「船長ー!東の方角に一隻の船を確認しました!」

略奪だ。

クルーの声に俺は甲板へと足を動かした。



***



「この船に金目のもんなんてない……」

「俺達は金目の物が欲しいんじゃねェ。お前らの分の食料は残しておく。だが、後は全てもらう」

簡潔にそう言うと俺はクルーに指示し、船を調べさせる。

しかし、妙だ。

俺はこの船に乗っていた男を見る。

海賊船が来るまでに逃げればいいものを、この船はずっと前へ進んでいた。
まず、見張りもいなかった。

グランドラインを渡るには、それなりの覚悟や神経がいる。

特に見張りはいなくてはならないもの。

なのに全く周りにすら人がいなかった。

どういうことだ?

俺がそんな疑問を浮かべている時だった。

――バァン!

突然、船にある中へ入る扉が勢いよく開いた。

それにクルー達や俺も身構える。

「……あんた、たち……その人に、手を……出したら、許さ…ない……からっ!」

そんなロー達の前に姿を現した少女。

「!!……、リーシャっ!?」

シャチの驚いた声を聞きながら、ローは苦しそうに壁に佇んでいるリーシャを茫然と見ていた。

「なんでリーシャが……!」

ベポ達が目を見開いているのを見ながらリーシャはなおもロー達を睨みつけていた。

「この人達にっ、触れるなっ……!」

リーシャの息苦しい声が響く。

その時、縛りつけていた男が焦ったように口を開いた。

「リーシャちゃん!動いたらいけない!まだ熱が……!」

その男の言葉にローは理解した。

今、彼女は熱に侵されているのだと。



(偶然すぎる出会い)


prev next
[ back ] bkm