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こいつが、リーシャがストロベリーワッフルが好物だとは初耳だ。
ペンギンからワッフルを受け取る時に目が輝いているようにも見えて、俺は女らしいところもあるのだと密かに思った。
「なに……?」
こいつを見ていると俺の視線を不審に思ったのか、いやそうな顔で振り向いたリーシャに悪戯心が疼く。
俺は笑いながら、気にするな。と言うと、いかにもできるわけがない、という表情をしたこいつにまた笑いが漏れる。
俺の視線に耐え兼ねたリーシャはプイ、と横を向いた。
そしてワッフルを食べ終わると自分の分の会計を済ましてさっさと店を出て行く。
「あ〜あ、もう帰ったのかぁ」
「仕方ないよ、俺達が海賊でリーシャは賞金稼ぎだもん」
ベポがシャチに言うのを俺はぼんやりと聞いていた。
「リーシャ海賊になるきねェのかなぁ?」
「う〜ん……それはないと思うけど……」
「仮に海賊になったとしても、あいつは絶対船長の言うことを聞かないと思うがな」
ペンギンの言葉には俺もそうかもな、と感じた。
逆に敵同士ではない俺達はなかなか想像し難しい。
俺はリーシャをからかうのが楽しくてわざと怒らせている事に彼女が気づいていない所が気に入ってるからな。
俺は次に彼女と会った時になんて言ってやろうかと密かに模索し始めていた。
(きっと今頃彼女は悪寒に体を摩っていることだろう)
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