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楽しく喋りながらベポと一緒に出口を探していると、突然目の前に人影が立ちはだかる。



「な、なにっ……!?」



私達は驚きながらも目の前の人物をよーく見た。



「て、シャチ?!」

「本当だ!シャチどうしたの?」

「なんだ、リーシャ達かよ……」



立ちはだかった人物は、現在進行形で生意気な事を言っているシャチだった。



「なんだって何よ!こっちはリアルに迷ってるっていうのにっ!」



私が不機嫌な口調で言うとキャスは焦りながら謝る。



「悪かったよっ!あ〜、その実はな……」



シャチの言葉に私は嫌な予感がした。



「まさか、よね……?」

「ははっ、そのまさか、だ」



シャチの言葉に私は少しの希望と期待が崩れた。



「な〜んだ!シャチも道に迷ったんだねっ!」

「まァな!」

「開き直らないでよ!あ〜!これじゃあ、ただ人数が増えただけで何も変わらないじゃない!」



私は頭を抱えながら叫んだ。



「ははっ!まァ、よろしくな!」



シャチは私の肩をポンッと叩いた。



「よろしくじゃない!大体なんでキャスまで迷子になってんのよ……!」



私が叫ぶとシャチは苦笑いしながら事の末を説明し始める。
事の発端は、ベポが見当たらない事に気がついたローの言葉だった。



「シャチ。ベポを探してこい」

「え?!わ、わかりました……」



シャチは渋々ながらもベポを探す為に迷路を歩いている間に、いつの間にか迷ってしまったということだった。



「もぅ!トラファルガー・ローは一体何を考えてシャチ一人にベポを探しに行かせたのか、理解ができないわ!」




リーシャはローの、シャチに面倒を押し付けるやり方に憤りを感じていた。


「せ、船長は何か考えがあって俺に行かせたんだろ……」

「私はそうだとは思えないわ!」



シャチはリーシャを落ち着かせようとしたが無駄に終わった。



「そんな事はないさ」

「ペ、ペンギン!」



そんな時突然声が聞こえたかと思うと、いつの間にかペンギンが横の壁にもたれ掛かっていた。



「もしかして迎えに来てくれたのか……?」

「あぁ、船長がミイラ取りがミイラになるだろうからだってな」

「キャプテンが……?」

「え、なにげに酷くね?」

「気のせいだ」

「いや、絶対ちげーだろ!」



シャチがペンギンに突っ込んでいる間、私はこれからどうするか悩んでいた。
ペンギンが来たならこれ以上一緒にいると最終的にトラファルガー・ローと出くわす事になるだろう。



「ペンギンが来たならもう大丈夫ね」



私がそう言うとペンギンが私の腕を掴んだ。



「まぁ待て。一緒に行った方いいだろう。お前も道に迷ってたんだろ?」

「う、それはそうだけど……」


私はベポとシャチをちらりと見る。



「そうだよリーシャ!一緒に出口まで行こうよ!」



ベポにキラキラした瞳で見られた私はハートを密かに撃ち抜かれた。



「っ!〜、わ、わかったわ!出口までだからね!」



私はそう言うとペンギンの手を振り払って前に進んだ。
そんなリーシャの後ろ姿を見ていたシャチは、



「ベポ、お前の目の破壊力は恐ろしいな……」

「え?え?」



ベポには理解できなかったらしくハテナマークを浮かべていた。



「よくやったベポ」



ペンギンに褒められたベポは意味がわからないまま歩くしかなかった。







(彼女のハートを射止める打たれ弱き純白なクマ)


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