15
「じゃあな!」
「また会えるといいわね」
彼女の言葉に俺はおぅ!と返事をした。
この広いグランドラインで再び会えることはもうないだろうが、俺達はそれをわかっていながらも会えることを信じるだろう。
その気持ちを胸に秘めたまま、俺達はお互い背を向けて歩き出した。
「お帰りシャチ!」
「おぅ、ただいま!」
俺が船に戻ると、ベポとペンギンが食堂にいた。
俺はコックに袋を渡すと、二人の間に座った。
「どうしたの、シャチ?」
俺の様子にベポが尋ねてきた。
「んー?いやな……1ベリーも捨てたもんじゃねェよな……」
俺がそう呟くと、二人は意味がわからないと、お互いに顔を見合わせた。
「……頭でも打ったのか?」
「ちげェし!」
ペンギンの失礼極まりない言葉に俺はツッコんだ。
「じゃあ一体なんなんだ?」
「うわ……、なんだその、他に何か理由があるわけないだろ、みたいな顔は!」
「みたい、じゃなくて事実だろ?」
「うるせェよっ!もうぜってー教えねェからな!」
俺は、いつものペンギンの毒舌にムッとなり、自室に戻った。
「はぁ〜、また、か……」
俺はリーシャとの会話を思い出し、一人呟いた。
――次の日
あれから俺は船長に呼び出され、あんなに苦労して買ったにも関わらず、数が足りなかったためにこってりと絞られた。
罰として今日、船長と二人で荷物運びとして町へ狩り出された、そんな時であった。
「トラファルガー・ロー!」
突然後ろから声が聞こえて振り向く。
「え……」
「えっ、な、なんでシャチが!?」
そこにいたのは、昨日までただの一般人だと思って疑わなかった、リーシャだった。
「「………」」
(たった1ベリーの出会いがこんなことになるなど誰がわかっていたのだろうか)
「リーシャとの出会いはまぁ、こんな感じだな!」
「へぇー……凄いっすねー……」
(1ベリーって…)
シャチとリーシャの出会いよりも、1ベリーを払えなくてリーシャに1ベリーを払ってもらったという先輩に対してダサイ……、とは言えない新米クルーであった。
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