01
「トラファルガー・ロー!」
俺はまたか、とため息をついた。
「よく飽きないな」
「誰が諦めるもんですか!」
そう言って刀を構える少女。
俺はそれを無視して歩き出した。
クルー達も慣れているようでローに続いて歩き始める。
「ちょっ、ちょっとまちなさいよー!」
彼女は慌てて俺達の後についてくる。
するとそれを見ていた新米クルーが耳打ちしてきた。
「キ、キャプテン……あの女なんなんすか?」
新米は疑いの目を彼女に向けながら言った。
突然刀を突き付けた女をロー達は無視して歩き出したから、驚くのは当然だろう。
「あいつは賞金稼ぎだ」
「えぇっ!!」
「俺に刀向けてきたんだから予想はつくだろ?」
「え、ま……まぁ」
新米クルーは納得できないのか返事を濁した。
「はァ……お前はまだ入ったばかりだから知らねぇとは思うが、あいつは昔から俺らのことを追い掛けてんだよ」
ローの言葉に新米クルーは信じられないというような顔をする。
ローだって、まさかこんな長い付き合いになるなんて思っていなかった。
新米クルーを見ると期待に満ちた目をしている。
「……ペンギン」
ローは後ろにいたペンギンにこいつに説明してやれ、と言った。
「俺もめんどくさいんだがな……聞きたいか?」
「はい!聞きたいっす!」
「といってもな……何から話そうか……」
ペンギンが話し出すのを聞いていたローはちらりとさっきからついてきている賞金稼ぎの少女を見た。
昔よりも髪が伸びていて、幼かった顔付きも今では大人らしくなっている。
そんなことを考えているとローは、ふと昔のことを思い出し初めていた。
[ back ] bkm