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10

リーシャがこの島へ来ていてもおかしくないと長年の付き合いでそんな事は考えるもなくわかる事だ。
ローの言葉にシャチは言葉を続けた。


「確かにいたのはいたんですけど……射的をしていました…」

「「射的?」」


シャチの言葉にベポとペンギンは同時に言葉が重なった。


「そうなんだよ…やじ馬の正体は射的をしてるリーシャを中心に集まってた…」
シャチは人ごみを掻き分けながらリーシャが見えるところまで案内した。
そこには。




―パンパンパンッ


「あぁっ!また外れた!」


―パンパンッ

「弾が切れた!おじさん弾追加して!」



おもちゃの鉄砲を両手に持ちながら商品に撃ち続ける浴衣姿のリーシャがいた。



「………」

「………」

「………」


あまりに衝撃的なところを見たせいで俺達はすぐに言葉がでなかった…いや、だす言葉がなかったと言うべきか。
シャチは「な?言葉が見つからないだろ」と言ってリーシャの姿を眺めていた。しかも。


「嬢ちゃん、がんばれ〜」

「あと少しだ!」


などのやじ馬が飛ばす声援に俺達は唖然とするしかなかった。
そんな状態が数十分続いたころ。


―パンパンッ



「あ…や、やったぁ〜!!」


ついにリーシャが狙っていたモノに弾が当たりそれが下へ落ちた。
その出来事に周りのやじ馬達もワァーっと盛り上がり拍手が起きた。



「えぇ!いつの間にこんな人がいっぱい…っ…あ、ありがとうございました!」



リーシャは周りを見て驚きながらも恥ずかしそうにペコリと頭を下げた。
リーシャが商品を受け取るとやじ馬は少しずつ散っていく。
そして射的の周りにほとんど人が居なくなったころでリーシャは俺達に気が付いた。



「えっ?!皆…何してんの?」


「いや…こっちのセリフだよ、お前…」


リーシャはキョトンとしながらシャチの言葉にハテナマークを浮かべた。

「それより…リーシャが持っているものが気になるんだけど俺…」

ベポの言葉にリーシャはニッコリしながら答えた。



「あぁ…これとっても可愛いでしょ?!……



トラのぬいぐるみ!!」


リーシャはそのぬいぐるみを前に上げながら笑った。


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