出発のアナウンスのあと、海列車は滑らかに帰り道のない航路を走り出した。
鳴り響いた汽笛は、どこか遠くから聞こえるようでいて、でもとても耳障りだった。
覚悟は決めたはずだった。
もう戻れない道なのだと、わかっているはずだった。
二度と会えないひとがいるのだと、知っていた。
でも。
それでも。
想い出は熱を持ち、ジリジリとこの胸を焦がし始める。
のどの奥から突き上げてくるような切迫感に、息が苦しくなる。
この想いを伝えていたら、何か変わっていた?
この想いを、ありのままに吐露していたら......
私はまだあの場所にいられたのだろうか。
まぶたがじんと熱を持ち始め、ロビンは目を手のひらで覆った。