ナミはベッドから降り、窓際に立つ。

あの冷たい氷の中から救い出されたロビンの、現実に戻ってきたまさにその瞬間の表情が、今も目に焼き付いている。

ロビンはこの場所に帰ってきたというのに、まったく嬉しそうな目をしていなかった。

その目が開いて、オーシャンブルーの瞳が自分がまだ生きてここにあることを確かめたとき、そこにあったのは間違いなく問いだったのだ。

その瞳は絶望していた。

絶望しながら、なぜ、なぜ、と問い続けていた。

同じく、生かされたその理由を問い続けてきたナミだからこそわかる。

生き残るということの残酷さを、これでもかとつきつけるのがこの世界だ。

でも。

それでも。

窓から見える、海は凪いでいる。

海面は月明かりをきらきらと反射させている。

きれいだな、とナミは思う。

たぶん、ロビンもそう思うだろう。

こころがふりきれてしまうようなかなしみのただ中から見た世界は、ときに、笑えてしまうほどにうつくしいから。

けれど、うつくしい世界は何も答えを返してはくれないのだ。

だからナミは、ロビンを追いかける。










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