Side_Nami_2



よくも悪くも、ナミとロビンは似た者同士なのだと思う。

青キジの言葉が、それを確信させた。

幼い頃から、ひとりきりの戦いを強いられてきたことも。

裏切りを重ねることでしか、自分を守れなかったことも。

いつわりの言葉でしか、他人を守れないことも。

きっと最後まで、意地っ張りなところも。

そうして開いた傷口がかわかないうちに、新たな傷を作り続けながら生きてきたふたり。

だからロビンが、自分のかなしい記憶や痛みを誰かに引き受けて欲しいと願ったりしないことは、直感的にわかった。

過去はどんなに切実に願ったところで変えられないのだから、これまでに抱えてきた痛みも、苦しみも、かなしみも、自分ひとりが持てばいい。

けれどひとりきり頑張り続けても、やがて道は閉ざされて立ちすくむしかないのだと、ナミはもう知っている。

ひとりきりじゃ、いずれ未来を導く希望の光は途絶え、明日さえ見えなくなってしまう。

それでもナミが今、この船で笑っていられるのは、あきらめなかったからじゃない。

『たすけて』と、そう言うことができたから。

誰かを信じて未来を託すことができたから。

『おれはたすけてもらわねぇと生きていけねぇ自信がある!』

そう潔く言い切ることのできるルフィの強さは、今もこの胸に明るく灯る光そのもの。

そう。

あたしたちはひとりきりじゃ、かなしみの前に立ち尽くすしかないから。

あたしたちは、誰かがそばにいてくれなくちゃ、さみしさの前に震えることしかできないから。

あたしたちは誰かと一緒にしか、心から笑うことなんてできないから。

今度はあたしがあんたに言わせたい。

『ここから連れ出して』って。

過去に傷つけられた記憶は変えることなどできないけれど。

ロビンをあきらめと終わりの世界から連れ出して、これから一緒に生きていく未来を、よりあたたかなものへ変えていくことはできる。

これからロビンを飲み込もうとしている闇がなんであれ、一緒に戦うことはできる。

だからロビン。

いい加減に、言葉にしてよ。

『一緒にいきたい』って。



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