Side_Robin_2



麦わらの船に乗ったことに、特に理由なんてなかった。

それでも、麦わらの船に乗ったことを悔やむ時は、すぐに訪れた。

麦わらの船は、やさしすぎて。

あたたかすぎて。

ロビンの凍りついた心は、とけはじめていたから。

とかしてはいけなかったのに。

それは、今まで凍りつかせることで押しとどめていた痛みやかなしみや苦しみが、堰を切ったようにあふれだすことを意味するから。

そうなれば、ロビンはもう立ってはいられないかもしれない。

耐えかねて、つぶれてしまうかもしれない。

そうならなかったのは、航海士の存在があったからだと思う。

ロビンが心の中で凍りつかせることで、なんとか自分を保っていた感情がとけだした先から、航海士はあふれでたそのかなしみや、さみしさや、痛みを、すくいあげてくれた。

その声で。

その瞳で。

その笑顔で。

その言葉で。

そのぬくもりで。

とても自然に、それが当たり前のことであるように、すくいあげてくれた。

そのひとつひとつを思い出すたびに、胸がふるえる。

泣いて、すがりたくなる。

どうか、許して、と。

あなたとの未来を信じられないくせに、あなたが好きと伝えたくて。

あなたになら言葉にせずとも伝わるに違いないと思って。

あなたに近づいては、あなたの心をはかった私を。

あなたの気持ちにこたえるつもりもないくせに、あなたに「好き」と言わせてしまった私を。

あなたの気持ちにこたえられないのに、あなたを好きでい続ける私を。

どうか、許してほしいの。



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