Side_Robin_1
巨大な生き物ばかりの森の中でサウスバードを捕まえて戻ると、モンブラン・クリケットの家は無惨に破壊され、金塊は奪われていた。
ただでさえぼろぼろだった、かわいらしい羊の船首を持った船も、へしおられるように壊されている。
自分の仕業だと名を告げるために壁に残されたマークは、モックタウンで見かけた海賊のものと同じだった。
それを見て船長はひとり、街へと走り出した。
残されたクルーは、「空島への冒険が控えてるんだから、船の修繕は俺たちに任せて休んでおけ」とのモンブラン・クリケットの申し出を、ありがたく受けることにした。
けれど結局は、ひとり敵地に乗り込んでいった船長が心配なのか、大きな穴をあけられたモンブラン・クリケットの家で休むクルーはおらず、みなが思い思いに時間を過ごしていた。
いつも寝ている剣士はみなから少し離れた岸辺にあぐらをかいて、座っていた。
その目が開かれているのか閉ざされているのかはわからないが、まっすぐに顔が海に向けられているので、寝ていないことは確かだ。
コックは船を修繕してくれているモンブラン・クリケットと仲間たちに、差し入れを作っている。
長鼻の少年と船医は、なんだかんだと理由をつけて、船の修繕を行うクリケットの仲間たちに加わっていた。
そして、修理中の船から少し離れた場所に、ロビンは座っていた。
そのかたわらには、航海士。
にぎやかに修繕を行う声が、波の音に混じって小さく耳に届いている。
コックが寒くないようにと起こしてくれた焚火の火は、ぱちぱちとはぜた。
航海士はロビンの隣に目を閉じて横たわっていたが、眠っていないのはわかっていた。
ひとつのベッドに眠るようになった最初の夜から、航海士は寝相がいいとはいえなかったから、身じろぎひとつせずに体を丸めて横たわっている今は、起きているに違いない。
はじめは眠れないから寝返りを繰り返すのかと思ったが、二、三日でそれは違うとわかった。
航海士の体動は、夜が深まるにつれて大きくなったから。
正直、ついこの前まで敵だった自分がいるにもかかわらず、熟睡できる航海士の無防備さはどうかと思うし、戸惑いもした。
けれど、何を思ったところで航海士が隣に寝るという現実が変わるわけでもなさそうだし、航海士の無防備さをたしなめるような気持ちは、無防備な姿を見せてくれることをよろこびだと感じてしまう心に、次第に消されていってしまった。
そんな時には、自分がどうしようもなくおろかしく感じて、航海士がどんな活動的な夢を見ているのかを想像して、自分の感情をごまかしたりもした。
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