Side_Nami_2



ロビンへの想いを自覚してからというもの、ナミはよく考える。

どうせ叶わないと、だから諦めるのだと、自分に言い聞かせている恋なのだから。

何の見返りも求めることなく、ただただロビンの幸福を祈ることができたなら……ロビンが心静かに過ごせるようにふるまうことができたなら、自分自身もどんなにか心穏やかにいられるのだろうか、と。

ナミを含めた他のクルーたちとロビンは10歳も年が離れているのだから、ロビンにとって、ナミたちが子どもに思えるのは当然のことだ。

ロビンはこの船に何も期待していないように見えるけれど、それはクルーたちがあまりに子どもだからで、例えば同年代のクルーがいたなら、ロビンは何かを望んだり、欲しがったりするのかもしれない。

そうであるならば、その時がきたら、ロビンが迷わずに欲しいものを欲しいと言えるように。

ロビンがこの船に乗った最初の頃みたいに、ゆっくりとロビンの心がほぐれるのを待つことができたならば、きっとロビンは戸惑ったり苦しんだりしなくて済む。

ナミだって、心がぺちゃんとつぶれたみたいに、苦しんだりもがいたりしなくて済む。

そうしているうちに、ナミのかなわない想いも、悲しがったり痛んだりやるせなかったりすることで摩耗していって、そんな時間の流れの中で、やがてつるつるの石ころみたいになってくれるかもしれない。

そうすれば、ナミとロビンの間にあるものは、お互いに苦しくなることでしか距離をはかれない、そんな行き止まりの焦燥みたいなものじゃなくて、クルーどうしという穏やかな連帯感情になるかもしれないのに。

だから、もっと献身的に、ロビンがいつか幸せになることを、心から祈るだけの自分であれたらよかった。

ロビンを決して傷つけない自分であれたら、ほんとうによかった。

でも、現実は……

欲しいものはこの手につかまなければ気が済まないタチである自分は、手に入らないことがつらくて、くやしくて、じれったくなって……

「どうしたの?」

黙ってロビンを見下ろしたままそんな考えに沈んでいると、その沈黙を不審に思ったのか、ロビンが首をかしげた。

そうやって首をわずかに傾ける仕草だけでもかわいらしいと思ってしまう自分には、心穏やかに、なんて到底無理な話だ。

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