Side_Nami_1



わからなく、なってしまった。

自分がどうしたいのか。

ロビンとの関係を……ロビンへの想いを、どうしていくべきなのか。

ロビンがこの船のために、その身を世界政府に差し出したのだと知ったとき。

とにかく助けなければという一心で、走り続けた。

ルフィがウソップに世界政府の旗を『撃ち抜け』と言ったときだって、ロビンが麦わらの一味のためにこの世界のすべてを捨ててもいいと思ったのと同じように、ナミだってロビンのためならこの世界のすべてを敵に回してもいいと思った。

ウソップが政府の旗を燃やしたときは、すがすがしくさえあったのだ。

それだけじゃない。

今までの自分ならば、これまでに立ちはだかってきた敵とは桁違いの強さを誇るCP9と直接対峙するなんて、考えもしなかっただろう。

けれど今回は、退く気なんてさらさらなかった。

幼いロビンからすべてを奪ったバスターコールというトラウマを利用してロビンを深く深く傷つけ、その命を捨てさせようとしたやつらに、背中など向けたくはなかったのだ。

たとえ手にした武器が改良されたばかりで、使いこなせるかどうかわからない状態だったとしても、そんなの関係なかった。

奪われたロビンを取り戻す戦いに、『退く』なんていう選択肢はありえない。

『望むところだ!』とルフィが叫んだのと同じように、あたしたちは、あんたのためにこの世界だって敵に回せる。

さあ、あんたはどうする?

司法の塔を目の前にして、クルー6人でロビンにそう問いかけていたのだ。

そして。

ロビンは麦わらの一味の問いかけに応えた。

『生きたい』と、ようやくその胸に抱く望みを口にしたのだ。

『私も一緒に海に連れてって』と、この船でともに旅を続けることを望んだのだ。

その言葉が、ナミを奮い立たせた。

そもそも、この船はロビンのために誰とだって戦ってみせると心の底から思ったナミ自身が、逃げるなんてありえない。

その心がウソいつわりのないものだと証明するために、ナミはこの手で、この体で、どんなに傷を負ったとしても、最後まで戦い続ける覚悟を決めていた。

この命を懸けてあがかなければ、自分の命が他のクルーたちの命とまったく等価に大事なもので、ひとりでも欠けたらこの船は海を渡れないのだと、ロビンだって実感できないかもしれない。

何より、戦うことを放棄して死ぬことは『守る』こととは違うのだと、そう証明したかった。



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