天京


剣城は時々すごく甘えん坊になる。たいてい二人でいるときで、どういった条件でなんていうのは決まっておらず、それは剣城の気まぐれに過ぎない。剣城の言葉を借りて言えば『ちょっとそういう気分になった』時だ。


この時も天馬の部屋で寝る準備をしていると、ベッドに入ろうとした天馬のパジャマの裾が引っ張られた。まだ寝るなと言うことらしい。
甘えるときの剣城は積極的だ。
引っ張った後天馬がまた机の前に座り剣城の隣に来ると、いきなり頬を狙ってあんぐと八重歯が目立つ口を開けてくる。
ふにふにと甘噛みして、何回か口元にもキスを送り満足すると、天馬の腰に手を回して胸あたりに顔を埋める。

「剣城?ねむいの?」

「ねむくない」

「うそ。剣城いつもよりあったかいし、絶対眠いんでしょ。一緒に寝よ」

剣城は声にならないぐらいの小さな唸り声を上げてパジャマを掴んで胸に顔をすりつけてきた。普段の剣城を知る人物から見たら別人なのではないかと疑うのも仕方のないほどの変貌っぷりだが、決して天馬以外の人いる時にはしない行為の数々に、天馬の心臓もずっとうるさく脈を刻んでいる。
自分は剣城の特別なのだと感じることができるのが嬉しくて、天馬も甘える剣城の頭を撫でてやった。気持ち良さげに剣城は目を細める。

「天馬」

「なに、」

胸あたりにあった剣城の顔が伸びて天馬の口を啄ばんでいった。リーチはあるため簡単に届き、虚をつかれて体中が熱くなる。
それを感じ取ったのかまた天馬に擦り寄り、くく、と喉を震わせた。

「お前の方があったかいな」

満足そうに微笑む剣城に何も言えず、ただ息を飲む天馬を尻目に剣城は寝息を立て始めた。

「なんだよ、やっぱり眠かったんじゃない…」

胸にもたれかかる剣城の頭を膝に移し、髪の流れに沿ってひとなでして頬にキスをする。
甘える剣城を見ていると、なんだか自分がいつも見上げている剣城がとても近くなったようで、安心した。もしかしたら剣城はそんな天馬の気持ちをどこか感じていて、わざと天馬に甘える時間を作っているのかもしれない。しかしそれほどまでに愛されているという自覚を持てて、天馬は顔を緩ませるしかなかった。


「おやすみ京介」










【貴方に据える置物は決まっている】




(大好きだよ)










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天馬と剣城は、お互いがお互いのこと尊敬し合ってるんじゃないかなーと


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