「京介ー!」


どす、と抱きついてきた天馬は抱きついた後背中に両手を回してジャージが千切れるというぐらい強く先を握りしめた。
身長差があるため抱きつく位置は腹より上で胸より下ほど。抱き返せば京介の手がちょうど天馬の頭に届く。

なので、京介の機嫌が良いと天馬の頭を撫でてくれる。天馬はその瞬間がとても好きだった。


撫でながら京介がふいに天馬のおでこに自分の額をくっつけた。琥珀色の瞳が眼前に迫り天馬は驚いたが、その瞳が穏やかなのを感じ取って琥珀を見つめ返す。

「京介」

「陽の匂いがするな」

「ひの匂い?」

「お前の全身から、お日様の匂いがする」

「さっきまで外で昼寝してたんだ。だからかも」


京介は目を閉じて、スンと鼻を鳴らした。撫でていた手が止まり天馬の手に伸ばされる。その手を取って唇を近づけた京介に、天馬はくすぐったそうに笑う。


「なんかいいことあったの京介」

「兄さんに誉められた」

「だからかぁ」

「いい匂いだな」

「京介はちょっと、病院の匂いがするよ」

「そうか」

「うん」

「臭かったら離れてもいいぞ」

「まさか!そんなこと思うわけないじゃない!京介こそ、埃っぽいと思うから離れてもいいんだぞ」

「誰が」


ぎゅ、と抱き締める力を強めた天馬を、肩に頭を乗せ抱き返す京介の腕も更に強くなる。
苦しい。
京介が放った言葉を、天馬は受け止めて顔を埋めた。












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天京ちゃんがギュッギュしてたらかわいいなっていう


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