※ジャンヌのとこ



剣城は自分と同じFWで一年なのに、背も高くて言動もちょっぴり大人びてて。
だからかは知らないけれど皆の輪から外れて一人壁に背を預けていることが多い。


しかし黄名子は思うのだ。いくら剣城が他の一年より大人びていてしっかりしているとしても、剣城が自分と同じストライカーで一年だということに変わりはないと。
やはりいつものように皆の輪の外にいた剣城にジャンヌからもらった飴をあげたのもその理由で、剣城も飴を食べたいのではないかという単純で明解なことしか黄名子は考えていなかった。

少し間を置いて黄名子の手から拾われた飴玉を口に含みうまいと転がす剣城を見て、やっぱり剣城も食べたかったのだと満足げに頷いた。


「…なんだよ」

飴の感想に対しての黄名子の動作が気に入らなかったのか、剣城がぎろ、と見下ろしてくる。黄名子はその様子が大人びたものではなかったのでより一層嬉しくなって更に笑みを浮かべてしまった。

「なんでもないやんね」

「そんなことないだろう」

「ないったらないやんね!それより、飴もう一個もらってくる!」

「あ、おい」


そこには埋めようのないリーチの差というものがあり、黄名子の三歩は剣城の一歩だ。すぐに追い付かれ肩を掴まれる。


「菜花」

「なに、剣城は飴もういらんのー?」

「…ほしい」

「そうやんね!だからウチが取りに」

「オレも一緒に、行く」


黄名子は瞬きを繰り返した。目の前でうつ向き気味に目を合わせないようにしている剣城からいつものような大人びた雰囲気を感じ取れなかったのだ。
ああ、剣城が大人びていると思ったのは剣城がそう見せる努力をしているからなのだと。この人の根本が全く関係していないとは言えないかもしれないが、やっぱり自分たちと変わったところなどありはしないと。


「剣城とウチ、オソロがいっぱいやんねっ!」

「あ…?どういうことだ」

「教えてあげないやんねー」

「はぁ!?」

「ジャンヌのところまで競争やんねっ」

「おい!…黄名子!」



飴の甘さを口に残したまま、黄名子はとろけるように弛む頬を手のひらで包んだ。




いっぱいでいっぱい!




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