相互記念・鬼道総受け

円堂は鬼道が薦めた高価なワインより、地元の酒屋で売っているビールや発泡酒を好む。そして童顔な顔に似合わず酒好きな円堂は酔いが回るのも早い。すぐ真っ赤になりしゃくり上げ始める。


「円堂、今日はペースが早くないか?」

「HRも終わったし、禁酒期間も終わったからな。久しぶりで加減できないかもって言わなかったっけ?」

「ただ今日はいっぱい飲むと張り切っていたことは覚えているが」

「そうだったか?ま、いいや。そんなワインなんかチビチビ飲んでないで鬼道もビール飲もうぜ〜」

「いや…結構だ」

「ちぇー、酒強いもんなぁ鬼道は。じゃあこの缶全部俺が開けていい?」

「豪炎寺の分がなくなるぞ」

「いいよアイツは!また遅れやがって、残しといてやらねー」


言うや否や新品の缶を煽り唸っている円堂に苦笑を漏らした。
HR中鬼道が雷門の監督を代理で努めている間、フィフスセクターを探るために円堂があちこち世話しなく飛び回って調査をしていたことは知っているし、どれだけ円堂が苦労したかも十二分に理解しているつもりだった。今回の集まりはその疲れを発散しあおうという面目において鬼道邸でひっそりと催す予定になっていた。
だから円堂が飲みたいというならばそれを鬼道が止める権利もないだろう。


「きどーう」

既に眠くなってきたのか机に突っ伏しだした円堂が頬を潰し顔だけ向けた状態で鬼道を呼んだ。元々アルコールに強く無意識に飲む量を調整している鬼道は素面に近い。はっきりとした頭で真っ赤に潰れる円堂を見返す。


「なんだ円堂、豪炎寺が来る前に潰れるのか?」

「だぁってよー…久しぶりだから今まで我慢してた分も飲みたいんだよ」

「今日摂取したアルコールが過去の自分に分配されるわけでもないぞ」

「わかってるってそんなことー!鬼道にはわかんねぇよ毎日一本飲むビールのおいしさが!」

「俺は元々ビールは好かん」

「そんな連れないこと言うな、…って!」


酔ってフラフラのくせに予備動作なしで突っ伏した状態から立ち上がったのはさすがと言ったところか。伊達に元プロリーグ、現雷門の監督をやっているだけはある。
そんな今更のことを感心したのも束の間、立ち上がってフラリと体を揺らしながら円堂は机に置かれていたビールをおもむろに取り一回缶に口をつけると、鬼道が座っているソファ目掛け倒れかかってきた。

「円堂!?」

咄嗟にそれを受け止めると腕の中で円堂が密かに笑った。


「…うぶ…!」

口に広がる苦味と僅かな甘みが鼻につく。唇で栓をされ逃げ場がなく、仕方なく飲み下すと腹の奥でせり上がるような感覚が鬼道を襲った。炭酸で喉がピリピリと痛い。
それになんとか耐え、くっついている円堂の胸を強く押しのけた。


「おっ、と」

「円堂…お前…」

「旨いだろビール」

「不味い…」


不快感を顕にする鬼道にふにゃりと笑いかけ、ソファの隣に腰を落ち着ける。2人座ってもまだ余裕があるのに、そのまま円堂は鬼道の左隣にくっつき寝息をたて始めてしまった。
思わず額に手をつきため息を吐いたが、肩に体重のかかる安らかな寝顔を見ると何も言えなくなってしまう。


「鬼道」

「うおっ!豪炎寺!!?」

「チャイムを鳴らしても出てくる気配がなかったから勝手に上がらせてもらった」

「驚かせるな…それにしても遅いぞ、円堂が寝てしまった」

「みたいだな」


一息つきながら円堂の飲み残しを掴むと鬼道の右隣に腰を落とし一気に煽る。
豪炎寺と円堂には鬼道の家の合鍵を渡してある。2人にせがまれて仕方なく作ったものだが、予想通り2人は頻繁に鬼道の家に来るようになった。


「円堂はだいぶ飲んだみたいだな」

「あぁ。こんなに散らかして片付ける方の身にもなってほしいものだ」

「昔から鬼道は円堂の保護者だな」

「全く、そういうところは成長しない」

「だが世話をしてるときの鬼道は楽しそうだ」


少し豪炎寺の顔に影が射したような気がしたが、すぐに元の微笑に戻りワインも貰いたいと言ってきたためそれに返事することに意識を取られる。

それからワインを飲んでさっきのビールの味を消しつつ最近の他愛もない話をしていたが一向に円堂が起きる気配がしない。仕方がないと鬼道が毛布を取ってこようと立ち上がろうとしたときだった。


「うぅ…ん、きど…」

「お、起きたかえんど、う」

「きどー…」

「…おい円堂、何をやっている」

立ち上がろうとしたその瞬間、円堂の手が鬼道の服を捕らえたのだ。少し引っ張ってみても離してくれない。力任せに引っ張ることもできたが、服を犠牲にしたくない。


「豪炎寺…どうにかできないか」

「いいじゃないか。俺もちょうど眠たくなってきたところだったんだ」

「は?豪炎寺?」


豪炎寺は右隣に座ったまま、ことりと鬼道の肩に頭を預けた。
鬼道は目を見開き驚きを隠せない。円堂はともかく豪炎寺がこんな甘えるような態度をとるなんて。


「まさか…酔ってるのか?」

「酔ってない…」


豪炎寺は酔っても顔に全く出ない。わかりにくいが若干ぼんやりとしているように見えて、鬼道は身動きの取れなくなった状況に活路を見いだそうと思った。しかし大の大人一人さえ動かすことは容易でない。両脇を取られ辟易するしかなく。


「鬼道」

「なん…、ぅ、んん…!?」


振り向いた瞬間に柔らかい感触。肩に乗せていると思われていた頭はいつの間にやら鬼道の頬、そして口に移動していた。
腕を掴む力が強くなっている。


「円堂ばっかりじゃなくて…俺も見ろ、鬼道…」

いつになく不安そうな、悲しそうな瞳で見つめてくるものだから、咄嗟に言葉が返せなくて生唾を飲み込む。
すると豪炎寺もうとうとと瞼が落ちていき肩が重くなった。



残された鬼道は両脇で寝息を立てる2人を交互にみやり、退かすことを諦めてそのまま自分も寝てしまうことにした。
きっと皆疲れているのだろう、たまにはこういうことがあってもいいかもしれない。


寝返りを打とうとしたのか2人が身じろぎ寝言にもならないような声を上げる。

「ぅーん…きど…しゅき…」

「鬼道…好き、だ…」


「ッ…!??」


何を言っているんだこいつらは。たかが寝言と言い聞かせるが一旦脳が把握してしまって既に手遅れだ。
酒の火照りと無理矢理混同させ、赤い頬を隠すように鬼道は目を閉じた。









【ダブルアッパー!】




















______________


相互記念で書かせてもらったブレイク鬼道さん総受け文。
お酒好きや嫌い、強いだの弱いだのは幸月のただの理想的な妄想です。
鬼道さんは舌が肥えてるますよねきっと!だけどビールぐらいジョッキで飲んでそうではありますが←

なんか円鬼に愛が片寄ってる気がしないでもn((
総受けになってるといいな!


甘海老さんのみお持ち帰り可です!!
返品も可ですので気に入らなかったらポイして新しいの書けよ!と言ってくれても(笑)
相互ありがとうございます!



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