基吹






ふぶきやまで高校パロ 


ヒロトがめっちゃ乙女思考ていうか乙女で遠距離恋愛中



簡単設定



基山→吉良財閥のコネを使って雷門の高校に入学、現在高校2年生で既に眼鏡をしている
学ラン
サッカー部所属
円堂さん、染岡さん、半田など旧雷門イレブン、緑川と一緒に通ってる


吹雪→北海道の高校に通ってる現在高校2年生、背丈は大人吹雪よりちょい低いぐらい
(幸月の趣味の関係で)ブレザー着てる
サッカー部所属


高校生の時点でヒロトの方が背が高いといい←願望






















































その時、吹雪は終始笑顔だった。
もう暫く会えないからと、握ったその手はどちらも汗で濡れていて、基山は構わず両手で握りしめた。
今生の別れでもなし、また会いに来るからと慰めるように握り返す吹雪を見ると、双眸には薄く膜が張っていることに気づいて、余計に胸が苦しくなった。
泣くまい、泣いたらより一層別れがたくなってしまうから。基山も吹雪が離れたくないとすがり付けば無理矢理にでも引き止めたかもしれない。しかし吹雪はそんなことするはずがないこともわかっていたし、なにより北海道には吹雪を待っている人がたくさんいるのも知っている。

「基山くん、また来るから」

「うん」

「ぜったいだよ」

「…うん」

「だから、基山くんは学校と吉良の家のこと、がんばってね」

「う、ん…」

「泣いちゃだめ」

「!!…、うん」



急いで拭った先の吹雪は今まで見たことのないくらい、ここが薄暗い校舎裏だと感じさせないぐらいきれいで、例えば今いる場所が白の銀世界であったら、どんなに映えるだろうと基山はまた弛みそうになった涙腺を引き締めた。



「またね、」

















その日吉良ヒロトは有頂天になっていた。朝お日さま園の誰よりも早く起きて皆の弁当を作り上げ、どこか上の空で生返事しかしないので一緒に登校している緑川を怒らせ、朝練でもパスはあらぬ方向に飛ぶ、いつもなら絶対決まる至近距離のシュートを外し監督に怒鳴られ、 もちろん授業は聞いておらず、放課後の部活も身が入らない。



「なぁ緑川、今日のヒロトおかしくないか?」

「そうなんだよ…朝からこんな調子で。でも円堂に言われるなんてやっぱそうとうヤバいよなぁ」

「どういう意味だよそれぇ」


しかしそう尋ねてくるのは円堂が始めてでない。いくら家が同じだからといってヒロトのことを完全に把握できるわけないし、しようとも思わない。実際緑川もいい迷惑だった。
FWの練習メニューをこなしていたはずの染岡もこちらに走ってきて、呆れるように溜め息を吐いた。


「おい、アイツなんとかしてくれ。人の話聞いてねぇから練習になんねぇよ」

「やっぱりか」

「おれはヒロトの保護者じゃないんだぞ」

「わかってるよ有能秘書さん」

「きっとお前の声なら届くって秘書さん!」

「まだ秘書だと決まってないって!」


吉良の養子となったヒロトは正式に吉良財閥を継ぐことを決めた。もちろん父の意向もあってだが決定したのはヒロト自らだ。
そのときのヒロトの強い意思を見て、緑川はその側で補佐をしていきたいとかねてより考えてきた思いを始めて口にした。ヒロトはそれを快く受け入れた。
………のだが。


「子守とは違うんだぞ…」

額に手を当て嘆息する緑川に、円堂と染岡が両側から肩に置いた。











ヒロトもさすがに何もなくただ浮かれているわけではない。ちゃんとした理由があるのだが、それをあまり他人に公言したくなかったのだ。知っているのは自分だけでいい。そのせいで学校は散々だったから、帰ってたら取り合えず緑川には謝らねばならない。しかし待ち合わせ場所に向かうヒロトの足は自然に軽くなっていく。


待ち合わせ場所は言わずと知れた雷門の鉄塔広場。円堂に教えてもらったその場所を、ヒロトは一目で気に入った。
今日円堂は雷門夏美に呼び出されているという情報を本人から無理矢理聞き出したら、特訓には恐らくこないだろう。



「……――」


呼びたい。その名前を声に乗せて、一緒に風へ溶け込みたい。
あれから2年が経った。
今日はあの約束の、日。















「だーれだ!」


ヒヤリ、冷たくてさらさらした滑らかなものがヒロトの目元を覆った。
暗くなった視界の裏に映るのは幾度か夢に見た白銀の世界。






「…―っふ、ぶきくん…!?」




瞬間胸の奥底から沸き上がったものが体から頭の先から爪の先まで染み渡って、自身がパンクしてしまうんじゃないかというほどだった。溜まったところでそれを口から吐き出す。
それでも溢れ出る様々な感情はヒロトの中からどんどん出てきてしまって、末端がマヒしたように上手く動かなかった。



「久しぶり、基山くん。あ、もう基山じゃなかったよね。ね、ヒロトくん」


呼吸が止まりそうだ。電話越しで聞いているだけだった声が自分に語りかけていて、自分に笑いかけている。
感極まって許容量を越えたヒロトは、何も考えられなくなり吹雪へ飛び込んだ。
吹雪をより感じたい。
それだけがヒロトを動かしたが、それを吹雪はふわりと抱き止め、そのままヒロトの頬にキスをした。





「僕もとっても会いたかった!」

















【手はつなげる】









(肌で感じる君は、やはり気持ちがいい!!)












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友人に捧げた文・3


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