面倒だな(・・;)

2013.03.04.Monday



新芽の出始めた木々がしなるほどの風が吹き抜け、遅咲きの梅の花がぱら
ぱらと赤い花弁を散らす。

惑星ベジータにいた頃はもちろん、一人宇宙をさすらい続けた時にも、花を美しいと思ったことはなかった。いや、愛でるものだとは知らなかったという方が正しいだろう。

淡い緑になり始めた山肌の一角をアクセントのように赤く染めた梅に惹かれ、気まぐれに進路を変えた。自分を見てくれる者を待ち受けるように枝を広げた梅の木に腰を下ろすと、かぐわしい香りが抱きしめるように包み込んだ。

悪 くないな……

ふと口許に笑みを浮かべ、顔の脇の小枝に触れる。
さっきからの強風は、春の訪れを告げる風だと去年の今頃、別の場所で梅を見ながら教えてもらった。

認めるのはしゃくだったが、何かが足りない。
梅の香りも青い空も、輝く太陽もすべてすばらしい光景だったが、この絵をパーフェクトにするには、足りないものがあった。

「ターレス」

思いに答えるように後ろから明るい声で名前を呼ばれる。
明るい日 差しを背に空に浮かんでいる男を振り返り、ターレスは皮肉はひっこめて悟空に手を伸ばした。

「花見するなら呼んでくれよ」
「ハハっ。花は一人で見てもいいものか、確かめてみたかったんだ」
「ふぅん。ーーんっ、ぅ。へへ。で、どうだったんだ?」

口をとがらせて近づいてきた悟空を抱き寄せ、答えを返しながらキスをする。赤く頬を染めながらも、逆らわずターレスの唇を受け止めた悟空は、照れ笑いを浮かべて問い返した 。

「悪くはない。だが……」
「ん?」
「おまえがいないと、また来たいとまでは思えないな」
「じゃあ。今度は呼んでくれよ?」
「……いつもオレが独り占めるわけにもいかないだろう。おまえがいない時間に慣れる訓練だ。この星には、いたいからな」
「オラといられなくてもか?」

悟空は自分の言葉がひどくわがままだと自覚しながらも、問いたださずにはいられなかった。

「おまえが、どこかで笑ってるなら。それでいい」
「ターレス……」
「そんな顔するな。せっかくこうしていられるんだ」
「うん。なぁ、オラ、おめぇが好きだ」
「ーーそう、だな」

返してやりたい答えを飲み込み、ターレスは悟空の肩を抱く手に力を込めた。



ふぇっ、せつないけど、せつないけど、タレ空も好きだ(*´ω`*)

14:15|comment(0)

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