息抜きぃぃ

2012.11.28.Wednesday

 マンションの部屋の前で時計を確認すると、深夜2時を回っていた。

 キーケースから選んだ鍵を鍵穴に差し、極力音を立てないように回す。ドアレバーを90度起こし、静かに引いたドアの隙間から滑り込むように部屋に入った。

 さほど長い訳ではない廊下を通って寝室に向かいかけた足を止める。
 リビングの間接照明が消えていないところを見ると、自分を待っているうちに眠ってしまったのかもしれない。
 そっとドアを開いて中を覗き込むと、案の定、胸の上に読みかけの本を開いたまま眠る同居人の姿が見えた。

「風邪ひくぞ、……って、あんたの口癖だろ?」

 少し眉間に皺を寄せて眠るトーマを足元に立って覗き込み、ごく小さい声で呟く。
 いつも自分がされているように抱き上げてベッドに運ぼうとしたらどんな顔をするだろう。
 起こさずにするには難易度が高すぎる行動だが、ぐっすり眠っているトーマを見ているうちに悪戯心がこみ上げてきた。

「……いつまでも、ガキじゃないんだからな」

 フッと笑みを浮かべてトーマの背中と膝の裏に手を滑り込ませる。
 力を込めて抱き上げようとした直後、視界がぐるりと回転したかと思うと、何が起こったか分からないままトーマを見上げていた。

「悪戯坊主の帰宅か?」
「起きてたのかよ、趣味悪いな」
「いや、たった今起きたんだ。さすがにおまえにお姫様抱っこされるがままってわけにはいかないからなぁ」
「――オレだっていつまでも大人しくしてると思うなよ?」
「どれ……」
「――っ、バカやろっ、何するんだ!!」
「ハハッ、まだ大丈夫だな」

 顔の脇に肘をついてターレスを真上から覗き込んでいたトーマが、楽しげに目を光らせたかと思うと、あれよあれよという間に逞しい腕で抱き上げられていた。
 驚きと羞恥で赤くなって暴れかけたが、トーマは直ぐにターレスを下ろし、頭半分低い位置にある額にキスをした。

「――ベッドまでお姫様抱っこが出来なくなっても、おまえの相手はオレだぞ、ターレス?」
「ふんっ、そんなこと知るか」
「そうか。……じゃあ、たっぷりおまえの身体に教えておかないとな。オレは……おまえに関してだけは独占欲が強いんだ」
「何言ってるんだ」
「……そうだな」

 僅かに間を開けて答えたトーマの顔に、一寸見たことのない表情が浮かんだ

 問い質す前に抱き締められ、何も言えなくなる。
 ターレスは広い胸から伝わる鼓動に耳を傾け、試すように背中から腰に滑り降りたトーマの手の感触に答えて短く吐息を零した。




 タレさんの若さがトーマさんを不安にさせちゃうとかもいいなぁ〜〜//////
 さて、原稿に戻ろう!!

23:22|comment(0)

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