しんどいしんどいと・・・・
2012.11.26.Monday
少し酒が残って重い頭を上げ、ベッドに腰を下ろす。
欠伸をしながら枕元の喫煙セットに手を伸ばし、最後の一本の煙草を取った。
銀の小さなライターで火を点けて空になった箱を潰して、部屋の隅のダストボックスに放り投げたが、外してしまった。
まぁ、3回に1回は外しているのだから、当然気にもしなかった。
咥え煙草で起ち上がり、トイレに行こうと部屋を出た時、キッチンから疲れた胃に心地よく染みこむようないい匂いが漂ってきた。
「帰らなかったのか」
用を足してそのままキッチンに向かうと、昨日の夜の相手に声をかける。
そんなものを持っていることも忘れていたシンプルなエプロンを着けたブロリーは、オレの問いに振り返り、黙って頷いた。
オレよりも頭一つは背も高く、逞しい体つきのブロリーにはお世辞にも似合っているとは言えなかったが、料理をする時には着けるもんだと思っているのかもしれない。律儀というか、頑固というか、よくも悪くもブロリーがこうと思いこんだことを変えさせるのは至難の業だ。自分に害がない限り好きにさせておくのが一番いい。
もっとも、オレなんかよりよほど常識的で、キレさえしなければ無害と言ってもいい性格だから、ブロリーが傍にいて迷惑したことはほとんどなかった。
ただ一点を除けば……だが。
「へぇ、美味そうだな」
シンプルな銅の鍋を覗き込んでみると、細かく刻んだ野菜が薄い金のコンソメスープで煮こまれている。オレの反応に喜んだのか、ブロリーは背中からそっと腕を回してきた。
「……ほとんどレトルトだ」
「上等。二日酔い一歩手前だから、ありがたい」
顔だけで振り向いて薄い笑みを向けると、キスが落ちてきた。
束の間、昨夜の激しい行為の余韻を確かめ合うように静かに舌を絡め合い、唾液を交換する。
「ターレス、次の遠征はいつだ?」
「ん?ああ、確か三日後だな」
「随分間隔が短いな」
オレを解放し、白いスープ皿に件のコンソメスープをよそっていたブロリーが、少し残念そうに言った。
「今回はバダの代わりなんだ。なんか、怪我が治ってないとかで、あの家の兄弟と一緒に……」
そこまで口にして、しまったと気づいたがもう遅かった。
さっきまで穏やかだったブロリーの顔つきが隠しようもなく険しくなり、手にしていたおたまを乱暴にシンクに置いた音が響いた。
「カカロット、と……行くのか?」
「あのなぁ……」
「他の奴に行かせろ!」
「無茶言うな、ブロリー」
今にも爆発しそうな感情を抑え、オレの肩を痛いほどの力で掴んだブロリーの声が震える。言うまでもなく力で敵う相手ではないが、オレは怯まず顔を上げ、青いオーラを纏いかけたブロリーを見据えた。
「無茶じゃない、はずだ。他にも遠征に行ってない下級戦士は……」
「バダに頼まれたんだ。まだ、あいつらだけじゃ不安だからってな。いつもならトーマに頼むんだろうが、あいつはまだ遠征先らしいからな」
「……カカロットに会いたいのか?」
「そうじゃないと言っても、信じないのなら答えるだけ無駄だ。――それに、オレは別におまえだけを相手にしているわけじゃない」
「――ッ、それ、でも……いいっ、カカロット、でさぇ、なければ……」
……ったく。
舌打ちしかけるのを堪え、苦しいほどきつくオレを抱き締めたブロリーの腕に逆らわず、あやすように背中を撫でる。
「いい加減にしろ。……オレとカカロットは、何でもない」
「嘘、だ」
「嘘じゃない。あいつが誰のものにもならないのは、おまえが一番よく分かってるだろう」
溜息混じりではあっても、かなり皮肉な声になってしまい、自分でも驚いた。
ブロリーの太い腕が一瞬ビクっと震えた後、ゆっくりオレから離れ、叱られた子どものように唇を噛んで項垂れる。
「気にするな。オレはおまえが……オレと誰を重ねてオレを抱くのかも知ってて受け入れてる。身体の相性は最高だから、文句をいうことでもない」
「ターレス、オレは……」
「ただな、ブロリー」
何か言いかけたのを無視して言葉を続けると、ブロリーは大人しく口を閉じた。
「……代わりにしたいのなら、セックスだけ楽しめ。オレが起きるのを待って朝飯作るなんてことをしていたら、惚れてるかもしれないと、錯覚するぞ?」
「――それでも、いい」
「ブロリー……」
「そう言わないと、おまえもオレの言葉を信じ、ないだろう?」
肩をすくめたオレをブロリーはもう一度抱き締め、頭を下げて頬と頬を擦り合わせてきた。
「犬みたいだな」
「……飼って、みないか?」
「へぇ?そんな答えもできるのか」
思いがけないブロリーの言葉に軽く目を開き、オレは答えの代わりに肩に額を預けてきたブロリーの髪を優しく撫でてやった。
カカたんは前提ってほどではなく、何となくブロさんが意識してる感じですかねー。
当のカカはきっと自由人(*´∇`*)
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