どうせこうなる・・・・

2013.01.17.Thursday

 やっぱりいねぇ……

 ネオンの揺れる深夜の繁華街には少々不似合いな幼い顔だちの青年は、ずらりと並んだ看板ホストの顔写真の真ん中に飾られた一際目を引く金髪とブルーの瞳の青年の写真を立ち止まることなく横目で見て小さく溜息を吐いた。

 週に2、3回、口実をつけてこの繁華街を歩いていると、50/50程度の割合ではカカロットに会うことができた。虚飾に満ちた街の明かりの中に生きるカカロットにとって、自分のようなありふれた男は物珍しいのか、会えば必ず声をかけてくれた。

 もういい加減、会いたくてこの街に出てきているのはバレているのだと思う。
 カカロットも時々そのことで悟空をからかいはしたが、あまり深く追求されることはなかった。お互い口にはしなかったが、それが一番いいいのだと暗黙の了解があるような気がしている。もっとも、そんな風に思っているのは悟空だけで、カカロットにとっては一度でも店を訪れた客へのリップサービスに過ぎないのだろう。

 真冬の冷たい風に肩をすくめ、もういい加減諦めて帰ろうとした時、ふと後ろに人の気配を感じた。

「子どもの来るところじゃないぞ?」
「え?あ、あの……」
「いや、失礼。……確か前にうちの店に来てくれてたな」
「あ……」

 含み笑いをひっこめ、そつのない笑顔を浮かべた男には見覚えがある。
 確か悟空が友達にこのホストクラブに連れてこられた時、いかにも初めて来ましたという若い男の集団を出迎えたホストだ。
 店の責任者らしく、物珍しげに辺りを見回す悟空たちを特に嫌がる訳でもなく、せっかく社会勉強に来たのならと言って、店のNo.1とNo.2のホストを回してくれた。

「カカロットに会いにきたのか?」
「へ?」
「あれ以来よくこの辺りで見かけていたからな。男でも女でも、あいつに接客されたら大概の客は夢中になるから無理もない。それに……」
「な、なんだよ?」

 意味ありげに言葉を切った男の、独特の雰囲気に気圧されながらも何とか問い返す。ノータイで少しラフにスーツを着こなしているカカロットと違い、責任者らしい落ち着いた装いと夜の街が不思議にマッチした隙のない男を見上げていると、何もかも見透かされているような落ち着かない気分にさせられた。

「カカロットもしょっちゅう君の話しをしているからな」
「――カカ、が……?」
「名前は?」
「え?」
「先に名乗るべきか?オレはターレス。一応この店の店長だ」
「あ、ご、悟空だけど」
「うちの店はどちらかというとカカロットみたいなキレイどころは粒ぞろいだが、可愛いタイプの看板ホストは少なくてな」
「はぁ……」
「とりあえず体験入店してみるか?カカロットはインフルエンザでひっくり返ってるが、明日には出勤してくる」
「インフル……って、大丈夫なんか?」
「オレの家に寝かせてるから大丈夫だ」
「え……」
「店の商品に手は出さないから安心しろ。あいつは一人に出来ないから子守してるだけだ」

 ニヤリと笑ったターレスの言葉に頬染め、悟空はそんなんじゃないと言った。

「とにかく来い」
「オ、オラ、ホストなんか……」
「おまえなら大丈夫だ。同じようなタイプの可愛いのがいるから、そいつからノウハウは吸収できる」
「だから、オラはやるなんて一言も……」
「カカロットは、傍で見ていないと直ぐにどこかに消えちまうぞ?」
「――っ」
「決まりだな」

 ターレスは断れるはずがないとばかりにそう言うと、慌てる悟空の肩を抱いて強引に店の中に入って行った。

 





って何これ。
翌日慣れないホストさんとしてカカさんと再会の黒ちゃんでした/////
スーツもかっこ可愛いよ、きっとぉぉ(*´∇`*)

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