久しぶりに

2013.01.10.Thursday




風のない夜。
草木も寝静まった時刻に、山頂の空気が褐色の肌を凍てつかせる。

どれほどこうして立ち尽くしていたのか。つけたはずの決心を実行に移せずにいるターレスを蒼い三日月が笑っていた。

星の輝きを妨げる人工の明かりのない夜空を時折流れ落ちる星をいくつ数えた時だったか……
一際明るい流れ星に気づいて瞳の奥に力を入れたターレスは、白銀の光が星ではないことに気づいて目を見開いた。

瞬く間に目の前に迫った光の塊はターレスの前に降り立つと、身体を覆うオーラが消えて見慣れた青年の姿になる。口を開けば全てが動き出す沈黙の中、二人は怒りも悲しみも汲み取れない互いの顔を見つめていた。

「どこ行く気?」

このまま足元に薄く積もった雪に溶け込むかと思うほど長い静寂を破って悟飯が口を開く。言葉と一緒に吐き出された白い息を見て、ターレスは目の前の男が現実なのだという奇妙な感覚に内心安堵していた。

「おまえのいないところだ」
「なんでだよ!やっと、ターレスの全てを受け入れるって決めて、一昨日……なのに、なんで消えるんだ!」

一度口を開いたとたん堰を切って溢れ出す言葉を止める術をなくしたのか、悟飯の顔は月明かりでも分かるほど紅潮していた。ここ数ヵ月で急に成長し、身長もほとんど変わらなくなったターレスの肩を掴み、悟飯は今にも泣き出さんばかりの痛みを圧し殺した黒い目で瞬きもせずにターレスを見つめている。真っ直ぐな感情を冷えた目で受け止め、ターレスは悟飯の胸を軽く押した。

「満足したからだ。おまえならセックスの相手くらいすぐ見つかる」
「そんなのが欲しいんじゃないっ。逃げるなよ、ターレスっ。僕は……どこに行っても諦めない」
「……なら、ガキの頃にした質問をもう一度してやる。……オレと一緒に来る気はないか?」
「行くよ。ターレスを一人に出来ない」
「意味がわかってるのか?」
「もう子どもじゃないのは……ターレスが一番知ってるだろ」
「……ここは、寒いな」
「帰ろう?ベッドで……温める、から」

言い終えた傍からカーっと頬を染めた悟飯にフッと静かな笑みを返し、ターレスは何も言わずに悟飯を抱き締めると、冷えた唇を深く塞いだ。





帰ってからは初エッチよりも優しく濃厚に〜(*´∇`*)←アホw

08:38|comment(0)

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