とりあえず……

2012.12.25.Tuesday



「あ、なんだよ、カカロット。このフォルダ鍵かけてるじゃないかー」
「あ、バカっ、何勝手に見てるんだよっ。家に電話するんじゃないのか」

クラスメイトと帰宅中、家に連絡するから携帯を貸してくれと言われ、渡していたら、どうやらデータフォルダの一覧が開きっぱなしだったらしい。ニヤニヤ笑うクラスメイトから携帯を奪い返し、謝る言葉を無視して角を曲がる。どうやら家に連絡するから連絡したいのは本当らしく、手を合わせて頼み込む男を振り返って舌を出した。

「あ、すいま……、先生っ?」
「携帯は禁止だろう?」

前をみていなかったカカロットは反対側から歩いてきた誰かにまともにぶつかってしまった。両腕を捕まれ、慌てて詫びようとしたが、すぐに青い目を大きく見開いた。驚くカカロットを楽しげに見おろしているのは、副担任のターレスだ。高校教師という職業には不似合いな独特の空気を醸し出しているターレスは、男女を問わず人気がある。顎に片手をあて、どうしたもんかとばかりにカカロットを見下ろす大人の表情に気圧されつつ、カカロットは頭を下げて詫びた。

「あ、カカロット、悪い。俺、迎えきたからっ」
「あ、おいっ!……ったく」

逃げるように駆け出していく友人を見送り、カカロットがため息を吐く。仕方なくターレスにモウイチド向き直ると、ターレスは片眉を上げ、可笑しそうに目を光らせていた。

「没収ですか?」
「……おまえにラブレターが送れなくなるとオレも困るから見逃してやるさ」
「ちょっ、ターレス!!」
「誰もいやしない」
「わからないだろ、そんなの」

辺りを見回して声をひそめるカカロットを見て小さく笑い、ターレスは逆立った金髪に指を絡め、カカロットの額にキスをした。

「ターレス!」
「はいはい。とりあえず生徒指導室に来い」
「分かったよ」

渋々という様子をして見せても、高鳴る鼓動には気づかれているに違いない。カカロットは腕が触れあうほどの距離で隣り合ったターレスの顔を見ないようにして、半歩遅れて歩き出した



禁断の生徒指導♪ヽ(´▽`)/

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