インテありがとうございました!(タレカカ妄想付)

2016.08.24.Wednesday


(タレカカ現パロメモ)

「おじさん」
 行きつけのバーを出てすぐ後ろから声をかけられる。
 最初自分のことだとは思わなかったが、辺りに他に人の気配はない。
 まだおじさん呼ばわりされるほどの歳でもないのにとやや自尊心を傷つけられつつ振り返ったターレスは、声をかけてきた相手を見て、やむを得ないかと思った。

「なんだ」
 短く答える間に相手を素早く観察する。
 歳の頃は十六、七といったところか。金髪によく映える青年の青い目がターレスを真っ直ぐ見つめている。普通に歩いているだけでも人目を引くであろう端正な容姿にも関わらず、青年の目はどこか危うく、同じ年代の人間よりも大人びて見えた。
「……ノンケ?」
 挑むような表情で聞く青年をジッと見据え、フンと鼻を鳴らす。
 ターレスの余裕のある態度に圧されたのか、青い目が微かに揺れた。
「そういうおまえはどうなんだ」
 薄く笑みを浮かべて問い返すと、青年が大きく目を開き、唇を噛む。恐らくこんな返しをされたのが初めてなのだろう。実際、そっちの気がある男なら、これだけ綺麗な顔の男から声をかけられれば、あっさり交渉は成立するものかもしれない。
「――男の方が、金出してでもセックスしたいって言う奴が多いから、確率の問題」
「なるほど。で? おまえの基準で言えば、オレも金を出して男を買うように見えたってわけか」
 楽しげに問い返すターレスを見返し、青年は諦めたように溜め息を吐き、小さく首を振った。
「見えないよ。モテるだろうし。他をあたる」
「待て」
「……っ、何」
 踵を返して走り出そうとした青年の腕を掴み、強引に振り向かせる。
 呼び止められたことにか、ターレスの力にかわからないが、青年の青い目は驚きで大きく見開かれていた。
「買ってやる」
「え?」
「行くぞ」
 形のいい金の眉を寄せ、やや不安そうに問い返した青年の疑問には答えず、ターレスは青年の腰に手を回し、路地裏へと歩き出した。

「ど、どこに行くんだよ」
「――心配するな。道端で犬みたいに抱いたりはしない」
「オレはッ、別にどこでもっ」
 強がろうとして見ても、明らかに経験値が違うらしいターレスの目に射すくめられ、抗議の言葉が出なくなる。さらに十分ほど歩き、街の喧騒から少し離れたところに建つ小さなホテルの前で立ち止まったターレスは、青年の腰に回した手はそのままに、もう一方の手で顎を掴んで顔を上げさせた。

「名前は?」
「――っ、教えるわけないだろ!」
 キスされるかと思うほどに迫ったターレスの顔に驚き、一瞬言葉に詰まる。ターレスは青年の答えを予期していたのか、薄い笑みを浮かべた。
「オレはターレスだ」
「そ、そんなのほんとかどうか……っ」
「だから、おまえも偽名でいいさ」
 値踏みするようなターレスの視線に耐え切れず、青年は青い目を伏せ、顎を掴んだターレスの浅黒い手から顔を外した。
「……カカロット」
「いい名前だ」
 自分でも何故本当の名前を教えたのかはわからなかった。だが、とても、偽名を使う余裕はなかった。カカロットは顔が熱くなってくるのを自覚しながら、
「――っ、お金、くれるんだろ?」と言った。
「ああ。……おまえなら言い値で買ってやるさ」
 耳元で響くターレスの低い声に背中がゾクリと震える。
 不快感ではなく、それはこの後、自身が体感するであろう快感を予感させるようだった。
「行くぞ、カカロット」
 ニヤリと笑ったターレスの顔が耳元から離れる時、微かなムスクの香りが鼻孔をくすぐった。


 無人のカウンターで適当な部屋を選び、エレベーターで二階へ移動する。
 柔らかな絨毯が敷かれた廊下には足音も響かず、隣を歩くターレスの落ち着いた立居振舞のせいで、一瞬自分がごく普通のホテルにいるような錯覚を覚える。
 完全に主導権を握られていることは決して気持ちのいいものではなかったが、カカロットはこれから起こることへの恐れ以上に好奇心を押さえられなかった。

「シャワーは浴びるのか?」
 部屋に入ってすぐ、窓際の小さなテーブルにルームキーを置いたターレスが、腕時計を外しながら振り返った。
 ワイシャツのボタンを二つ外した胸元から覗く浅黒い肌に目を奪われ、ゴクリと生唾を飲む。
 押されっぱなしではいけない。
 カカロットは口に溜まっていた唾液を気付かれないように飲み込み、ターレスに近づいた。
「先払い……だから」
「なるほど」
 クスッと笑って答えたターレスがポケットから札入れを取り出し、こともなげな様子で高額紙幣を数枚取り出し、カカロットの迷彩柄のショートパンツのポケットに無造作に突っ込んだ。
「――っ! んっ、ぅ、……っ、っ」
 完全にターレスの行動に飲まれていると、胸を強く押され、後ろのベッドに倒れ込んでしまう。驚く間もなく圧し掛かってきたターレスの手で両手をシーツに縫い付けられ、唇は深いキスで塞がれた。
「汗臭いのも悪くなさそうだ」
 動揺したカカロットが抵抗できないのを見透かすように、ターレスは唇を離し、笑いを含んだ声で言った。
「シャワー……っ」
 時間稼ぎにも何にもならないと思いつつ、なんとか絞り出した言葉は鼻で笑われ、もう一度ターレスの唇が重なってくる。
「んんっ、ぅ、……っ、ぃっ」
 身を捩って抵抗したところで、両手を押さえつけられてはほとんど意味がない。それどころか、かえってターレスの欲情を煽るだけだろう。
 歯の間から滑り込んできたターレスの舌がカカロットの口内をくまなく舐め、逃げる舌を巧みに絡め取る。息が出来ない苦しさと、歯の付け根を丁寧になぞる舌の感触がカカロットの中で快感に変わり、唇の隙間から甘い吐息が漏れる。
「――危なっかしいことをしている割には、可愛い反応だな」
「五月蠅……っ、ぁ、やっ!」
 紺色のTシャツの中に手を滑らせ、カカロットの胸の先端に爪をかけた途端、青い瞳が驚愕で見開かれる。そのあまりに擦れていない反応を訝しく思い、ターレスは脇腹に手をずらし、白い肌をゆっくりさすりながら、カカロットに顔を近づけた。
「まさか初めてじゃないだろうな?」
 真正面から見据え、やや鋭い声で問い質すと、カカロットの顔がさっと赤くなる。どうやらそのまさかのようだ。
 ターレスは片眉を上げ、少しの間カカロットを見ていたが、フウッと息を吐き、カカロットのTシャツを脱がせてからベッドに置き上がらせた。

「シャワーくらいは浴びさせてやる」
「……そ、それって」
「金は受け取ったんだからな。相手はしてもらうぞ」
 冷やかに告げたターレスの言葉にカカロットの方がビクっと跳ねた。
「まったく、この程度でそんな反応をして、どうやって客をとっていたんだ」
「い、今までは、その辺で……ッ、あんたみたいな変態オヤジの舐めてれば、それで終わりだったんだ」
「まぁ、おまえを買った以上、変態呼ばわりは仕方ないとしても、――オヤジは止めてくれ。そんな歳じゃない」
「……わかってるよ」
 カカロットはシーツを掴んで項垂れ、ポツリと答えた。
「振り向いた時、若いから驚いたんだ。なんかいい服着てそうだったから、もっとおっさんだと思って」
「ふぅん? 意外に見る目はあるんだな」
 ターレスはそう言ってカカロットに手を伸ばし、顎を軽くすくい上げた。
「こんなことしなくても、おまえなら日の当たる暮らしができるだろう」
「そんなに世の中甘くない」
「……まぁ、それもそうかもしれないな。とにかくシャワーを浴びてこい。話はそれからだ」
「話し、って」
 戸惑うカカロットの頬を軽く二度叩き、ターレスはいいから行って来いと言った。



つづく・・・・はず!w

00:04|comment(0)

back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -