書きたい・・・・けどっ

2015.01.28.Wednesday

 ……早く、早くっ。
 扉の近くで立ち話していてた同じゼミの学生たちにぶつかりそうな勢いで、教授への挨拶もそこそこに教室を飛び出す。

 夕刻のキャンパスには、講義を終えた学生のグループがそこかしこでたむろしている。裏門に向って歩いていくカカロットに気づき、声をかけてくる友人もいたが、今は相手をしている時間はない。足を止めることなく適当な挨拶を返し、冬枯れの銀杏の影にひっそり置かれたベンチを目指して真っ直ぐ歩いていく。運悪くスマートフォンが充電切れで、ゼミが長引いていることを知らせる術がなく、やきもきしていたが、悟空はいつものようにカカロットを待ってくれていた。

「ご……」
 まだベンチからは少し離れていたが、逸る心を抑えきれずこちらに背を向けている悟空に声をかけようと口を開く。だが、数歩歩いたところで、木の影で死角になった位置に待ち合わせの相手と並んで腰を下ろしている男がいることに気づいて、足を止めた。

 誰だろ……

 斜め後ろから見える顔に覚えはないが、学生でないことは確かだ。
 大学教師という雰囲気にも見えない男は、楽しげに話しをしている悟空に落ち着いた笑顔で相槌を打っている。二人が兼ねてからの知り合いなのは明らかなようだ。もちろん悟空の友人、知人全て把握している訳ではないから、知らなくてもおかしくはないのだが、その男のもつ独特の空気がカカロットを落ち着かない気持ちにさせた。

「……何だ?」
「――っ」
 いつから気づいていたのだろう。
 話しに夢中になっている悟空から視線を外した男が、真っ直ぐカカロットを見て少し可笑しそうに問いかけてくる。
「へ? 何言ってんだよ。聞いてんのか、ターレ……、って、カカ!?」
 男の言葉が自分に駆けられたものだと思っていたのだろう。グッと眉を寄せ、口を尖らせて文句を言いかけた悟空は、男の視線の先に立っていたカカロットを見て目を丸くした。
「あ、ごめん。――邪魔したかな?」
「何言ってんだよ、そんなわけねぇって。先終わった方がここで待ってるっていつも決めてっだろ。ごめんな。オラ、話しに夢中でちっとも気づかなくて。ターレスも気づいてたんなら早く言ってくれよ」
 文句を言いながら立ち上がり、足早に近づいてきた悟空に少し引きつった笑顔を返す。
「まさか、おまえの待ち合わせ相手がこんな美人だとは思わなかったからな」
 唇を僅かに引き上げ、おかしそうに答えた男は、ベンチの背に腕をかけて二人を振り返り、やや不躾な目でカカロットを見つめた。



・・・・タイムアップだ^^;;
別にタレカカって訳ではないんですよ、カカ空さんです(=^▽^=)

00:28|comment(0)

back

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -