寝て過ごした。。。orz(タレ空妄想付)

2014.10.23.Thursday



 日頃から御社の製品やコマーシャルを拝見し……

 慣れない電車の揺れにふらつきながら、頭の中で何度もシュミレーションをする。
 通勤ラッシュにかかる前の時間帯だから、さほど乗客は多くない。それでも、サラリーマンやOLで座席はほとんど埋まっている。
 
 そんな中、横長の長方形の黒い鞄を手に、いかにもこのために用意したと言わんばかりのリクルートスーツ姿の悟空はある意味浮いている。
 だが、悟空自身はそんなことに気づく余裕もなく、ひたすら頭の中で面接で聞かれるであろう質問への答えを何度も繰り返していた。
 
「あ!」
 シュミレーションに没頭しすぎていたせいで、危うく降りる駅を逃しそうになった。
 慌てて扉に駆けより、ホームへ飛び出す。ホッと息を吐いて時計を見ると、まだ面接まで裕に一時間はあった。
 
 自分の緊張ぶりに苦笑いしつつ、一先ず駅を出ようと歩き出した途端、いきなり肩を叩かれた。訝りながら振り返ると、見知らぬ男が立っている。
「あの……」
「悪いな、急に」
 特徴的な褐色の肌の男は、戸惑う悟空を薄い笑みで見下ろし、軽く詫びてから悟空のスーツに手を伸ばした。
「何……」
 反射的に身を引きかけた悟空に肩をすくめて見せ、男は手を少し引くと、悟空の腹の辺りを指した。
「ジャケットのボタン、かけ違えてるぞ」
「あっ」
「……就職面接か?」
 可笑しそうに問う男に赤い顔で頷いて見せ、慌ててボタンをはめ直す。礼を言おうと顔を上げた悟空は、男の少々不躾にも思える視線に面食らい、すぐに質問に答えられなかった。
「おい、そんなことで大丈夫か?」
「え?」
「ガチガチじゃないか。……何時からだ?」
「は?」
「面接だ」
「あ、えっと9時半……」
「まだ一時間あるな。飯は食ったのか?」
「あんまり食欲なくて……」
 戸惑いながらも素直に答える悟空を見ていた男は、スマートな動きで片腕を持ち上げ、時計を確認した。
「行先が遠くないのなら、朝飯でも食ってリラックスしてから行った方がいいぞ。そんな悲壮感漂う顔で行ったらどこも採用してくれない」
「そ、そうなんかな? オラ、そんな酷ぇ顔してっか?」
 不安げに問う悟空には答えず、男はもう一度時間を確認すると、薄い笑みを浮かべ、行くかと言った。
「へ?」
「飯だ、飯。――袖擦り合うも……というだろう。オレも朝飯はまだだし、付き合ってやる」
「あの、えっと……」
「別におまえをとって食いやしない。オレは行くから、嫌ならついて来るな」
 思いがけない誘いに目を丸くしている悟空を残し、男は振り返ろうともせずさっさと歩き出してしまう。
「あ、待ってくれよ!」
 悟空は自分でも何故だか分からないまま、身長に見合った広い歩幅で歩く男の背中を追いかけていた。




こっから先は金さんとかも混ぜようかとか色々考えてはいるんですが、三角関係っぽいのはせつないかなぁとか迷ってて、ちょっとここまでしか書けませんでした(;´▽`A``続きは気が向けば書くかも…ってくらいで(;´▽`A``

23:53|comment(0)

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