月がとっても青いから^^(タレカカ空妄想付)

2014.09.09.Tuesday


【Cheers under the Super Moon】

 携帯電話についているタイマーをスタートさせ、悟空は真剣な顔で鍋を見つめた。
 ぐらぐらとお湯が沸いている浅い片手鍋の中では、白い玉がいくつもクルクル回っている。3分経ったことを告げる電子音で慌てて鍋の持ち手を掴み、中身を用意していたざるに開ける。突然流れ込んだ熱湯でシンクがボコンと鈍い音を立てた。

「えっと、氷水につけて冷やして……」
 ネットで調べたレシピを声に出して確認し、つやつや光っている白い玉をざるごと冷水に浸す。手で丸く形作っている時には、かなり歪になった気がしていたが、ゆでると綺麗に丸くなってくれてほっとした。
 これでみたらしのタレでも作れば、文句なしの月見団子になるが、悟空にはここまでが精一杯だった。粗熱が取れた団子をもう一度ざるに上げ、水分が落ちる間にきな粉と砂糖を混ぜ合せる。
 同居しているパートナーたちの都合で、仲秋の名月には一日遅れの月見になったが、今夜はスーパームーンとかいう綺麗な月が見られるらしい。いや、たとえ今日が土砂降りでも、悟空にとっては月より団子よりパートナーたちと過ごす時間だ。普通あまり複数形で表現するものではないだろうが、どちらもかけがえのない存在だから、傍目にどう映ろうと悟空には三人で過ごす時間が一番大切だった。

 月見団子を作るのに使ったボウルや鍋を片付けていると、インターホンが鳴る。
 頼んでいたピザがもう届いたのかと慌てて玄関に走った悟空は、ドアを開けた瞬間、ピタリと動きを止め、今夜の月にも負けないほど目を丸くした。

「ほら。だから驚くって言っただろう?」
「嬉しいサプライズならいいじゃないか」
 金の眉を下げ、非難するカカロットの言葉をこともなげに受け流している男の名はターレス。悪びれる様子もなく明らかに悟空の驚きを楽しんでいる。
 カカロットとターレスは、どちらも悟空の大切なパートナーで、この家も三人共同の名義で借りたものだ。ただ、多忙なターレスは長期出張で家を空けることも珍しくなく、実際、三人で揃うのは春以来数か月ぶりのこと。だからこそ、何か特別なことがしたくて、悟空は仕事の休みまでとって準備していたのだが……

 まだ状況が飲み込めず、ポカンと口を開けたまま突っ立っている悟空の肩をに触れ、カカロットは青い目を少し細めて微笑んだ。
「悟空? 大丈夫? そんな顔しなくても現実だよ。一つ早いフライトがとれたんだって。オレは先に知らせようって言ったんだけど、ターレスが黙ってろって言うから……。相変わらず意地悪いよなぁ?」
「人聞きの悪いことを言うな。少しくらい驚きもあった方が、いいスパイスになるだろう。悟空、ぼおっと突っ立ってないで入るぞ?」
「……おかえりっ!」
 少しシニカルに笑ったターレスを無言で見上げていた悟空は、小首を傾げ、心配そうな顔をしているカカロットを見てから、二人の間に飛び込みながら両手を伸ばした。
「……泣く奴があるか」
「ターレスのせいだろ。ただいま、悟空」
 泣き笑いを浮かべ、すぐには離れようとしない悟空をカカロットとターレスが二人で抱き止め、顔を見合わせる。フッと笑って頭を小突くターレスと、対照的に甘やかすように髪を撫でるカカロットの手の感触を噛みしめ、悟空は二人がそろって自分の前にいることを実感していた。
 もちろんカカロットと二人、この家で過ごすことには何の不満もなかったが、やはり三人揃っている時が一番しっくり来る気がする。そもそも二人に出会わなければ、悟空は今頃自分の性癖を疑うことなく、結婚して誰かの父親になっていたかもしれない。

「カカ、ワイン買ってきてくれた?」
 悟空の気持ちをくみ取ってか、抱き締めた腕を離そうとしないターレスとカカロットを見上げ、悟空はようやくいつもの笑顔を浮かべて尋ねた。カカロットは少し窮屈そうな動作で片手を上げると、金の文字が入った黒い紙袋を掲げた。
「サプライズの分、ターレスに張りこませたよ。思う存分酔っぱらおう」
 ウィンクするカカロットの表情からして、相当高価なものなのだろう。
 悟空自身は高い酒を飲んでも、美味しいなという至ってシンプルな感想しか口に出来ないし、三人で飲めるだけで十分だったが、カカロットの満足そうな顔を見て噴き出してしまった。
「おまえは本当に悟空に甘いな」
 呆れ顔のターレスをちらりと見上げ、カカロットは青い目を悪戯っぽく光らせた。
「人のこと言える?」
「……オレの場合はベッドで容赦しない分、優しくしてるだけだ」
「ああ。まぁ、それはオレもそうかな。ターレスがいない時は優しくしてるけど」
「そ、そんな話っ、いいいい、今、いいから!! もうすぐピザも届くしっ、飯にしよう!!」
 いつものことながら、カカロットとターレスは恥ずかしがる様子もなくこの手の話しをする。半分は恥ずかしがる悟空をからかいたくてのことなのだろうが、何度経験しても慣れるものではなかった。悟空は二人の真ん中に立つと、赤い顔を隔すべく腕を掴んでリビングへズンズン歩いて行った。

「――ほぉ。随分風流なものを用意したじゃないか」
 カカロットと悟空がグラスや皿を用意しにキッチンへ向かっている間に、先にソファに腰を下ろしたターレスは、コーヒーテーブルの真ん中に置かれた素焼きの皿を見て楽しげに言った。
「へへっ。すげぇだろ? オラが作ったんだ」
 両手にグラスを三つ持ってリビングに来た悟空が少し胸を張る。
 ターレスは珍しく素直に驚いたようで、軽く目を見開いた。
「意外に器用なんだな?」
「いや、すっげぇ簡単なんだけど。でも、昨日は十五夜だし、今日もな、スーパームーンとか言う日らしいぞ」
「ああ、月が大きく輝いて見えるんだよな」
 遅れて入ってきたカカロットが、氷で満たしたワインクーラーをテーブルに置きながら続けた。
「うん!」
「聞いたことはあるな。再会するにはいい夜だったってことか。テラスに出て乾杯するか?」
「うん!」
 ターレスの提案に目を輝かせて頷いた悟空を見て、カカロットは穏やかに微笑んだ。
「じゃ、ピザが来る前に乾杯しちゃおっか?」
「うん。じゃ、ワイン入れるな」
 ニッコリ笑ったカカロットにも頷いて見せ、悟空はワインクーラーに入れたばかりのボトルから嬉しそうにコルクを抜いた。
「オラ、ちょっとでいいから」
「そう言わずに飲め。酔っぱらったくらいがおまえは大胆で可愛いからな」
「からかうなよ!」
 耳まで赤くなった悟空の頬にキスをし、ターレスは問答無用とばかりに悟空のグラスをほどよく冷えた白ワインで満たした。
「それはオレもターレスに賛成。……悟空?」
 ターレスが残り二つのグラスにワインを注いでいるのを見て、カカロットは悟空の頬に手をあてた。
「な、何だよ?」
「明日は三人とも休みだし、今日くらい……一緒に酔っぱらって、とことん乱れてもいいよな? ターレスが興奮するくらいね」
「なっ、カ、カカっ。で、でもっ、久しぶりだからっ、話しだってしてぇしっ」
 言葉の一つ一つが匂い立つほどの色香を感じさせるカカロットの声で耳まで赤くなり、悟空は内心自分も二人と深く繋がりたいと欲していながら、羞恥のあまりしどろもどろになりながらも反論した。
「もちろんゆっくり話もするよ。夜は長いし、月も明るいから……悟空ががまんできなくなる顔も綺麗に映してくれるだろうし」
「……オ、オラもっ、別に嫌とかじゃっ」
 カカロットは明るい声を立てて笑うと、俯いて答えた悟空の黒髪にキスをし、目を閉じてターレスの方にも身を乗り出した。
「オレは生半可なことじゃ満足しないぞ?」
「でも、オレ達なら大丈夫だろ?」
 チュッと音を立ててカカロットにキスをしたターレスは、口端を引き上げ、長い夜を予感させる甘く、深い声でそう言った。
「とにかく乾杯しねぇか?」
 窓から射す月明かりがよく似合う二人を見上げ、悟空はまだ赤い顔で提案した。
「ああ。だが、何にだ?」
「……カカとターレスがここにいてくれることに、かな」
「それを言うなら……」
 言葉を切ったターレスを見て小さく頷き、カカロットは悟空の腰を抱いてテラスへと歩きながら耳元で囁いた。
「オレ達と悟空が出会ってくれたことに、だよ」
「オレが一箇所に帰ってくる理由もおまえだからな」
 反対側から悟空の腰を抱き寄せ、ターレスもまた皮肉混じりながら優しい声で付け加えた。




To be Continued。。。。。。だったらいいね(*´∇`*)
いや、いくないか(笑)
blog妄想はほんとに一人萌え語り(たまには相互刺激)をSSにしてるよーなものなので色々粗くてすみません><見直しくらいしろよって、ここの管理人にいっておく(`・д・´)9m ビシッ!!

23:14|comment(0)

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