書きたいとこから…

2014.01.23.Thursday


 寝返りをうとうとして、不意に隙間風に気づき、やや億劫そうに目を開ける。
 寝室のドアを開けて立っていたのは、白い皿を手にしたカカロットだ。

 ……人間、なのか。
 カカロットが1人で部屋に来る時に人の格好なのは珍しい。
 ぼんやりとそう思ったものの、言葉に出して訳を尋ねなかったのは、昨夜からの酷い熱でまだ思考が働いていなかったから。
 真っ直ぐ近づいてくるカカロットのすらりとした姿は、間接照明と月明かりだけでも十分目を奪われる魅力があった。もっとも、本来はシルバーグレイのネコなのだと分かっているから、ただ純粋に美しいという感情が湧き上がるばかりだ。

「どうかしたのか?」
 久しぶりに出した声は少し掠れて、他人のもののように思える。
 カカロットは、ターレスの問いには答えずその場にしゃがみ込み、サイドテーブルを引き寄せて湯気の立っている皿を置いた。
「スープ、持ってきた。昨日から何も食べてないだろ?」
「ああ……悪いな。――薬は飲んだから、後は熱が下がるのを待つだけなんだ」
 気だるさを押し殺して答え、何とか起き上がったが、ヘッドレストに背中を預けないとまだかなり苦しかった。カカロットは青い目で何かを探るようにターレスを見ていたが、ネコとは思えない表情で嘆息し、お世辞にも愛想がいいとは言い難い仕草でスープ皿を持ち上げ、スプーンで中身をすくった。
「……自分で飲めるぞ?」
「嘘吐け」
 もう一匹の、元が野良ネコとは思えない人懐っこさを見せる悟空ならともかく、あまりに意外なカカロットの行動に身体のだるさも忘れて目を丸くしてしまう。だが、一言返ってきた言葉は、確かにいつものカカロットらしい。ターレスは自分を知る他の人間が見たら目がおかしくなったと思うだろうと考えつつ、笑いをかみ殺してカカロットの差しだしたスプーンから大人しくスープをすすった。
「美味いな」
「温めるだけのやつだけど。他には何も出来ないから」
「上等だ。……厚意はだけでも、十分な」
「いいから飲めよ」
「いや、あとは自分で飲むから、おまえは早く悟空のところに戻れ」
「悟空ならもう寝てる。すごく心配してたけど」
「そうじゃなくて、おまえにうつったらいけないからな。結構感染力の強いウィルスらしい」
「人の病気はうつらないよ」
「へぇ?」
「……人間の姿を取れても、本質はネコだから」
「そんなもんか。……なら、滅多にない機会だ。遠慮なく甘えさせてもらおう」
 ニヤっと笑って片眉を上げたターレスを見て、カカロットの顔が僅かに赤くなった。だが、ターレスが戯れにも似たキスをしようとすると、少し不快そうに顔を背けてしまった。
「うつらなくてもダメなのか?」
「そうじゃない」
「どうした?」
「……病人に話すことじゃないから」
「いいから言ってみろ」
 フウッと息を吐き、ターレスはスープを皿ごと奪うと、自ら口に運びながらカカロットを促した。

「……この前、遅く帰った日」
「ん? ああ……」
「ターレスから、雌の匂いがした」
 それだけ言って目を逸らし、怒ったように口を引き結んだカカロットを見て、一寸眉を寄せる。
 嫉妬、なのだろうかとも思ったが、どうもピンとこなかった。
 基本的にカカロットは悟空と二匹、安心して暮らせる場所とそのオーナーとしてしかターレスを認識していないと思っていたからだ。その証拠に、よほどのことがない限り、セックスも悟空と一緒でしかしない。それも二匹にとっては、刺激が増すだけのことだろうと……

「オレに女がいたとして、それが問題なのか?」
「……そんなこと考えたこともなかった。けど、あの時、少なくともオレはすごく腹が立った。ターレスを分け合うのは、悟空としか無理だ。ターレスが誰かと、えっと……つがいになるのなら、オレ達はここにいられない」
 きっぱり言い切ったカカロットの目には、明らかに怒りが滲んでいる。
「ネコっていうのは、随分勝手というか。いや、そう言えばオレが女を作らないだろうっていう自信があるのか?」
「そんなんじゃない。ただ、縄張り意識が強いんだ。それに、自信があるなら、わざわざ口に出したり……」
「なら、オレが悟空を独占したいっていったら、どうするんだ?」
 カカロットの言葉を聞き終えずに口を挟むと、カカとットは、もし、今ネコ本来の姿をしていたら背中の毛が全て逆立っているだろう勢いで、身を乗り出してきた。
「それは、パートナー巡っての争いって意味? それなら相手がターレスでも関係ない。勝てなくても悟空だけは誰にも渡さないっ。オレには悟空が……っ」
「悪かった。そう熱くなるな、ほんの冗談だ。ネコ相手に恋人奪い合わなきゃならないほど相手に困っちゃいない。……まあ、オレもおまえらを飼い続けながら、特定の女とここで暮らすというのは無理だと思ってる」
「どうして?」
「誠実でいられないだろうからな」
 アッサリ答えてスープを飲み干すと、カカロットは少し不思議そうに首を傾げた。
「誰に?」
「……そりゃ、女の方に、だな。おまえらから求められたら、拒絶し続けるほど、オレの操も堅くない」
「ターレス……」
「カカロット、まだ起こってもいないことを憂うのは止めろ。お前の悪い癖だ、カカロット。それより……」
 ターレスは真顔で諭した後、直ぐに少し楽しげに笑みを浮かべた。
「おまえが悟空とここにいる目的以外でオレに興味を持ったっていうのは、悪くない気分だな」
「なっ、だ、だからって、オレは悟空抜きでここにいたいわけじゃないからなっ!!」
「わかってる。でも、今夜くらいは、病気ですっかり気が滅入ってるオレのために、ここにいるのも悪くないだろ?」
「……よく言うよ。でも、ターレス病人だし、今だけ特別にいてやってもいいよ。悟空とはいつでも一緒にいられるし」
「ほんとに可愛いな、おまえは」
「飼い主に似るんだよ」
 カカロットはペロっと舌を出して悪態をついたかと思うと、見る間に灰銀色のネコに変わり、一声鳴いてからターレスのベッドに潜りこんだ。



end

なんだこの中途半端感・・・・
いや、一応ね、スマフォからの妄想ポチポチなのでご容赦をぉぉ;;;
まぁ、このぬこたんシリーズはカカ空絶対正義な上でのタレカカだったり、タレ空だったりなのでございますのでね(*´∇`*)カカさんはだいぶツンデレです☆

ちなみにタレさんはいわゆるバイセクシャルですが、過去に男性パートナーととっても熱烈な恋と別れを経験していて、その後は基本カカ空ぬこたん意外、男性(雄??w)との交渉はないのです。でも、女性で誰か特定の人を長く傍に置く気もないって感じですね^^

・・・・脳内妄想補完すんじゃねぇ(笑)
お付き合いありがとうございました。書けてるかどうかはともかく、とにかく……というか、書いてみると、やっぱりかっこいいタレが大好きです(*´∇`*)

18:58|comment(0)

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