さっぶいーー

2012.12.14.Friday




枕元で何かが動く気配を感じ、まだぼんやりした頭で薄く瞼を持ち上げる。ベッドの脇の低いサイドボードに目を向けると、この季節によくスーパーで見かける作り物のブーツにお菓子を詰め込んだ赤いサンタブーツだ。

こんなもの買ったっけ……

まだ夢うつつの悟空は、深く考えずに眠りに戻りかけたところで、ふと視界の端の人影に気づいた。

「ーーっ!?」

思わず声が出そうになるのを必死で堪え、息を飲む。 今夜この家にいるのは自分一人のはずだということを思いだし、戸締まりをしなかっただろうかと必死で記憶を辿る。はっきり目が覚めた今となっては、件のサンタブーツも自分が買ったものではないことも明らかだ。泥棒にしてはずいぶん手が込んでいると思うと、余計に怖くなり、とにかく相手が出ていってくれることを祈って息をひそめていたが、悟空の願いもむなしく、侵入者は狭い寝室をうろついているようだ。

よしっ

このままではらちが明かない。
覚悟を決めた悟空は、1つ大きく息を吸い込むと、ガバッと勢いよく起き上がって布団を人影に向けて投げた。

「うわぁっ」

不意をつかれ、悟空の狙い通り布団の下敷きになった相手に上から覆い被さる。真冬にも関わらず汗だくになりながら、体重をかけたまま布団をめくると、赤い三角帽子が覗いた。

「サ、サンタ??」

素頓狂な声を上げた悟空の手の力が緩むと、布団の中から出てきた手がサンタ帽子を脱ぎ捨てる。露になった金髪に目を見開き、悟空は恐る恐る布団を大きくめくった。

「カ、カカっ、なんで……」
「ハハ、見つかっちゃった。っていうか、悟空も結構力あるんだな」

決まり悪そうに笑っているのは、このマンションに一緒に住んでいる恋人だ。今朝早くに出張に出たはずのカカロットが何故……

狐につままれたような顔をしていると、カカロットの手が悟空の腕にそっと触れてきた。

「悟空に押し倒されるのも嫌じゃないけど、起き上がってもいいかな」

クスッと笑ったカカロットの言葉に頬を染め、あわてて脇に座った。カカロットは起き上がって悟空の頬にキスすると、出張先が大雪で空港から引き返してきたといった。

「明日はクリスマスイブだろ?帰りが夜中になったから、悟空が寝てる間に部屋をデコレーションしとこうと思ったんだ」

照れ臭そうに説明するカカロットの言葉通り、枕元のサンタブーツ以外にもスイッチを入れるだけで光の装飾が揺れるクリスマスツリーや窓に貼り付けるサンタやトナカイのデコレーションが用意されていた。








キャー、タイムリミット(;つД`)
続きはイブに??(笑)

08:59|comment(0)

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