腰痛い"/(*▽*) アイタタ・・・

2013.07.05.Friday


 頭上の重い扉が開く音に顔を上げたが、直ぐに射し込んできた光の眩しさに目を背ける。
 
 ――もう少しで、猿じゃなくてモグラになるところだった。

 浮かんだ皮肉な考えは、たとえ次の瞬間より恐ろしい目にあうとしても、束の間、慰めを得たからだろう。当たり前に存在した時には、さほど有難がったこともないかった『光』は、あともう少しこのままだったら狂っていたに違いないターレスの心を我知らず慰めた。

「立てるか?」
「ああ」

 降ってきた横柄な声に短く答え、両手首を重い鉄の手錠で繋がれたままゆっくりと立ち上がる。明るさに目が慣れてみると、ターレスの足元には見知らぬ男たちが数人倒れていた。
 仰向けになっている者、身体をくの字に折っているものと、格好は様々だったが、全員こと切れているのは明らかだ。
 精気のない土気色の顔を無言で見下ろし、肩をすくめる。
 警戒しながら目の前に降りてきたエリート戦士は、この星の王の側近だ。

 手にしていた明かりを目の前に翳され、思わず眉をひそめたが、文句を言う訳でもなく、ただ無表情に相手を見返す。10日以上、光の射さない独房では、天井から投げ入れられた僅かな食料を肩幅程度にしか開けない手で探り、貪り喰らう以外生き延びる術がない。それにも関わらず、正気を保っているらしいターレスを薄気味悪そうに見てから、王の側近は特殊なコードを入力してターレスの手と足から枷を解いた。

「飛べるのか?」
「……まぁ、ここを出るくらいの余力ならな」
「ならさっさといけ」
「お目通りが叶うのか?」
「ああ。――ふん、王も奇特なお方だ」
「おまえはオレの魅力を知らないからそう思うのさ」

 薄く唇をを開いて笑うターレスの黒い瞳は、独房よりも底知れない闇を感じさせる。
 微かに青ざめたエリート戦士を一瞥し、ターレスは自身の勝利を祝福するような明るい光に向けて飛んだ。


「……謁見にしては随分と薄汚い格好で来たものだな」

 異星の女たちが頭を下げながら開いた扉から中に入ると、楽しげなバリトンの声がターレスを迎えた。
 背の高い玉座でゆったりと足を組み、こちらを見ているのはベジータ王その人だ。
 ゆっくりと近づくターレスの足取りに迷いはなく、王の前まで来ると、軽く頭を垂れて片膝をつく。右手を左肩の付け根にあてた姿勢は、この星の古い習わしに従った服従の証。体に染みついた悪臭が、王に謁見するために纏った極上のトワレでもあるかのように、ターレスは落ち着きはらっていた。

「この身体は王の寝所にある風呂で洗うことが許されると思っていますが?」
「ほお?」
「――さっぱりすれば、まだ捨てたものではないはず」

 言葉づかいとは裏腹に敬意よりも、ありありと勝利の色を帯びているターレスの声にベジータ王は椅子に肘をついたまま満足げに笑った。

「何故生き残れたと思う」
「さぁ。ただ、運でないことだけは確かです」
「なるほど」
「……他の連中にはないものがオレにはあった。それだけでしょう」
「その目的は問わずにおこう。今はな」
「賢明です、ベジータ王」

 ゆっくりと顔を上げ、薄く笑ったターレスの表情は、早くもこの先に起こることを予見しているかのように、艶めいている。ベジータ王はターレスを見据えたまま立ち上がり、マントを翻すと、玉座の後ろの扉を開けた。

「ついて来い。今夜は気分がいい。その身体はオレが洗ってやる」
「それこそ飼い猫には相応しい扱いだ」

 ペロリと舌舐めずりして立ち上がったターレスは、一度クルリと尻尾を回すと、歩き出した王の後に続いた。




久しぶりで、なんかこう書きたい雰囲気先行になっちゃいましたが(汗)、やっぱりいいな、王タレは////多分ぎゃーぎゃー叫ばないだけで、ベジータ王は大大大好きなのですねぇ。っていうか、王タレが好き(*/▽\*)

書いてて思ったのが、多分今のところは、ベジ王を自発的に書くのはもう王タレだけかなーと思いました。あ、でも、タレカカ前提だと王カカはいいなぁぁ(*/▽\*)また機会があれば、ですね♪

お付き合いありがとうございました!

22:54|comment(0)

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