何やら・・・

2013.07.03.Wednesday


 もうもうと舞い上がる砂塵を避け、3分の2以上が崩れ落ちた高いビルの上まで飛んでいくと、八方に跳ねた髪が特徴的な男がこちらに背を向けて腰を下ろしていた。

「そっちも終わりか、ターレス?」
「ん?ああ、おまえも派手にやったみたいだな」

 ラディッツの声に振り向いた男は同じ下級戦士のターレス。
 幼馴染、悪友、恋人。
 どの呼び方もしっくりくる、言い換えれば唯一無二の存在というところだろうか。

 元は何の建物だったかも分からなくなったコンクリートの上にターレスと並んで腰を下ろす。
 見上げた空には儚げな三日月が浮かんでいた。

「あっけない仕事だったな」
「ああ。暴れ足りない」

 不機嫌さを隠さずに答えると、隣でターレスがクスっと笑った。

「笑うな。こんな星、いくら下級戦士でも2人も送られる必要ないだろ」
「んー?まぁ、調査ミスでもしたんじゃないか」

 ターレスのいつになく気のない返事にムッとしたが、ここで文句を言ったところでどうしようもない。未だ、ところどころで爆音と火柱が上がる廃墟となった街に目を落とし、ハァっと溜め息を吐いた。

「オレと来るのがそんなに嫌だったのか?」
「そんなこと言ってない。おまえだって分かるだろ」
「別に。オレはラディといられればいいから」
「そういう問題じゃ……」
「オレには大事なんだよ」

 ラディッツの言葉を遮り、薄い笑みを浮かべたターレスの手がラディッツの長い髪を撫で、少し傾けた顔を近づけてくる。一瞬、避けかけたが、何もターレスに当たり散らすようなことを言われたわけでもないと思い直し、大人しく少し乾いた唇を受けとめる。
 数回舌を絡め合ってから、離れたターレスの鼻先がラディッツの鼻先に触れ、吐息が濡れた唇にかかる。
 五月蠅く鳴りだした心臓の音は、ラディッツに腹立ちばかりではなく、廃墟の上にいることも忘れさせた。

「んっ」
「――っ、ラディ、今日は素直だな」
「五月蠅……っ、暴れ、足りないんだから仕方な……だろっ」

 赤くなったラディッツを見つめるターレスの目は、揶揄する言葉とは裏腹に、恐らくラディッツ以外は知らないであろう穏やかな色をしている。この目で求められると、たとえ時間も場所もお構いなしに始まる行為だとしても拒否するのは難しかった。

 硬いコンクリートの上に押し倒され、鎖骨を滑るターレスの舌を感じていると、否応なく鼻から甘い声がぬけて行く。
 暴れ足りないと言ったラディッツの中の戦闘欲を宥めるように、ターレスの愛撫は焦れったいほど優しかった。

「ターレス……っ」
「ラディ、尻尾、膨らんでる。気持ちいいんだな」
「――んっ、おまえ、のだってっ」

 ラディッツはターレスの指摘で益々赤くなったものの、背中に回した手の先に触れたターレスの尾を軽く握って言い返した。

「当たり前じゃないか。オレ、今ラディに触ってるんだぞ?」
「ああ、……もっと触ってくれよ。もう、おまえの手でしか感じられないから」
「可愛いこと言うなよ。――これでも紳士的にシテやろうと思ってるのに」
「似合わない」
「それもそうか」

 ターレスは楽しげに短い笑い声を立てると、ラディッツから戦闘ジャケットを奪い、露わになった分厚い胸の先に舌を絡めた。




・・・・'`ィ(*´ェ`*∩
これ以上は裏になるからここまでw

23:21|comment(0)

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