美味しくって萌えになるっ

2013.06.04.Tuesday




「トーマさんっ」

勢いよく開いたドアの音と同時に飛び込んできた声に驚き、髪をまとめようとしていたゴムを取り落としてしまう。慌てて振り向くと同時に、勢いよく抱きついてきた悟空の体重を受け止めた弾みで少しよろけてしまった。

キッチンテーブルに尻をつく格好で悟空を支え、漸く落ち着いてどうかしたのかと尋ねようとしたトーマは、こちらを見上げている悟空の目に今にも溢れそうな涙が溜まっているのを見て、 ぎょっと息を飲んだ。

「どうした、悟空。腹でも痛いのか?」
「オラ、子供じゃねぇぞっ」
「いや、そりゃ、もちろんそうだが、そ、そんな顔してるからっ」

ボクサーパンツ一枚の格好でピッタリ身体をくっつけられ、いい加減落ち着かない気分だが、今はそれどころではなさそうだ。ムッと口を尖らせた悟空の髪を撫で、トーマは1つ息を吐いてからどうしたんだと尋ねた。

「目が覚めたらいねぇからっ」
「はっ?」
「後悔して出てったんかと思ってオラ……」
「わああっ、な、泣くなっ。悪かった。よく寝てたから朝飯作ってベッドに持っててやろうと思ってたんだ。そのっ、こ、こんなオヤジが言うのもあれだが、その方が恋っ、こ、恋人同士らしいだろっ」
悟空は話す傍から湯気が出そうなほど赤くなっていくトーマをポカンと見上げていたが、静かに身体を離し、トーマの肩に手をかけると、精一杯爪先だって目を閉じた。
「ん、……ふ、ぅん……」
「悟空、……っ」
「トーマさん、トーマさんのキス、好き、だ、オラ……」
「オレもおまえが近くにいるだけで幸せだな」
言い慣れない甘い台詞が照れ臭いのか、トーマは顔を見られないように悟空をしっかり抱き寄せた。

「ビックリさせて、ごめん」
「いや、目が覚めるまで傍にいてやればよかったな。だけど、ここはオレのマンションだぞ?出ていくわけないだろ?」
「へへ。ごめん、ほんと。オラ、パニックしちまって」
ペロリと舌を出した悟空の柔らかな頬を片手で包み込み、トーマはもう一方の頬にやさしくキスをした。
「若い恋人の我が儘はきいてやらなきゃな」
「うん。背伸びはキスの時しかしねぇって決めたんだ」
「それでいい」
穏やかな笑みを交わして直ぐ、二人のお腹が同時にぐうっと音をたてた。
「飯にするか?」
「うん!腹ペコだ、オラ」
「たっぷり運動したからなぁ」
「バ、バカッ、トーマっ。あ。ごめんっ」
「トーマでいい」
可笑しそうに答えると悟空はトーマの広い肩に額を押しあて、大好きだ、と呟いた。




はいはい。
リア充ばっかりね、うんww

19:08|comment(0)

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