滑り込み牛蒡DAY
2013.05.01.Wednesday
「なんだ?」
リビングのラグに腰を下ろして直ぐ、背中にぶつかった感触に眉をひそめる。
肩越しに見えた跳ねた黒い髪と浅黒い肌を見て、バーダックはいつものことかと呆れ顔になった。
「素っ裸で何してる。風呂から出たら服着ろって言ってるだろうが」
「だって……」
「カカロットはどうした?」
「まだ風呂」
「はぁ……。だから飛び出して来たのか」
「うん」
離すもんかとばかりにバーダックの背中にしがみついている子どもの名前はターレス。バーダックとは瓜二つだが特に血の繋がりがあるわけではない。訳あって数ヶ月前からバーダックの家に暮らしている。
風呂場から聞こえる明るい声は、長男のラディッツとはしゃいでいるカカロットのものだ。歳の頃が同じターレスとカカロットは、普段は仲良く遊んでいるが、帰ってきたバーダックの奪い合いをする時だけは、まだ幼いだけに容赦のない取っ組み合いが始まってしまう。
「重いぞ」
「カカが来るまでっ!!」
「……好きにしろ」
バーダックは苦笑いして煙草を咥え、背中の小さな温もりを満更悪くもないと感じていた。
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