うにゅー

2013.03.31.Sunday



寝室の窓を開け、静かに夜へ滑りでる。
地面まで数十センチの距離を保って浮かび、見上げた夜空には蒼く丸い月。
冴えた光が作った影に目を落とすと、一瞬、ここがどこか、自分が誰なのかわからなくった。長く続いたわけではない奇妙な感覚も、腹の底でグルグルと渦巻く正体のない塊も、全てが黒い瞳が捉えた満月のせいだとは分かっていた。

尻尾を無くした悟空は、満月を見ても変身することはない。そのせいで不用意に月を目にすることもままあったが、その度、行き場を無くしたエネルギーが体をうねり回る感覚は何度味わってもなれるものではなかった。

だが、いくらこんな風に眠りから覚めたのは初めてだった。月に呼び起こされたような奇妙な感覚は、タブーを犯していると知りながら逆らえない力で悟空を誘い、運命の糸に操られるように表に出てしまった。案の定、丸い月が目に映った途端、むず痒い熱が脊髄を通って一気に尾てい骨まで達し、体が火照り始める。

この熱を鎮める方法は分かっていた。
だが、自ら誘いに行くわけにいかないことも分かっている。
実際問題、自分と違ってサイヤ人の証を残した男を満月の夜に連れ出すわけにはいかない。

ターレス……

目を閉じ、意識を集中してみると、眠っているせいか、あまり大きくない気をすぐに探り当てることができた。

ほとんど無意識に額に指をあて、もう一度、気を探る。微かな浮遊感のあと、目を開けてみると、悟空はもうターレスの寝室にいた。

バカだな、オラ……

気配を消してターレスの、意外にあどけない寝顔を見つめる。
ため息をついて、そっとベッドを離れ、出来るだけ音を立てないようにカーテンを開いた悟空は、窓の鍵を開けて表に出ようとサッシに足をかけた。

「夜這いじゃなかったのか?」

不意に声をかけられ、驚くあまり、見事にバランスを崩し、カプセルハウスの外に転がり落ちてしまう。

おいっ、という驚きの声が聞こえたが、頭を打ってすぐには答えられなかった。いてぇと呟きながら、頭をさすって起き上がった悟空は、窓辺にたったターレスがこちらを見ているのに気づいて息を飲んだ。




続きかけたらいいなーと思いつつ、晩ご飯ですw
TKTKさん以外のCPも書こうと始めたはずの企画がTKTKさんにまみれる摩訶不思議。タレ空あぷできたら、トマバダ仕上げます( ̄▽ ̄;)ただ、生粋トマバダ好きー様は楽しめない展開だと思いますけども(・・;)

18:33|comment(0)

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