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と、とりあえず神童君のお怒りを鎮めねば。
俺は密着させていた身体を離して、必死になって弁解の言葉を並び立てた。
「そうだよね!本当にゴメン!
俺もオカシイとは思ってたんだ。
神童君てそういう子には全然見えないし」
もう必死も必死!土下座も辞さない覚悟ですよ。
というか俺はやるよ?
神童君とエッチ出来るんなら土下座くらい簡単にやってやりますよ。
まあ実際には両手を挙げて「ノータッチの構え」で俺は必死に謝った。
「そういう子って…、どんな勘違いしてたんですか?」
うう、怖いなぁ。神童君が今度はジロリと睨んできた。
おっかしいなぁ、俺の方が10歳以上年上なはずなんだけど?
あ、そういうの度外視で怒ってるって事ですよね。スミマセン!
「あの…、神童君はこういう所に慣れてるのかなぁ、と。
待ち合わせもホテルのロビーだったし、そういうことなのかなぁ…、と。
そ、そんな感じです……」
俺は神童君の怒りっぷりに、シドロモドロになりつつ語尾を濁した。
というか、言えない…ッ!
私には言えないわ…ッ、「神童君がラブホ慣れしたショタビッチだと勘違いしちゃった(テヘペロ」なんて…ッ!
って、現実逃避してオカマキャラを光臨させてみても現実は変わらず。
折角女の子みたいな可憐な格好してるのに、神童君は今まで見た神童君史上最高におっかない顔をしたままだ。
「そういう事とは具体的にどんな事ですか!?
俺は同年代と比べたら、確かにこういう場所を利用する機会が多いかもしれません。
慣れてるという理由だけでキスなんてされたら堪ったものではないですから」
こ、こ、こ、怖ぁ〜い!
敬語が神童君の怒りを増幅させてるよなぁ。
言い逃れは許しませんよッ!と言わんばかりですよ。
って、あれ?
「神童君、こういうとこよく来るの?」
「何か問題でも!?
ホテルの利用頻度が高いのは、その必要性があるからです!
無意味に泊まってる訳じゃありません!!」
俺の質問に神童君は未だにキレキレで怒ってる。
なんかさー、これってちょっとおかしくない?
会話が噛みあってないっていうかさ。
「あの…、神童君?」
「だから、なんですか!?」
俺はまたも神童君に呼びかけた。
度重なる質問に神童君の声が尖りまくってる。
「えっと…、ここがラブホって分かってる?」
「え…ッ!?」
あ、神童君の動きが止まった。
「神童君、今、『俺はラブホをよく利用しますが、何か!?』って発言をしたんだけど…」
「・・・」
う〜ん、まだ神童君が動かない。もしかして神童君てぜんまいで動いてんのかな?
「というか『ラブホをよく使ってますけど、何か!?よく利用するのはラブホを使う必要性があるからです!ただ単に泊まってる訳じゃありません!ヤる為です!!』的な発言したんだけど意味合ってる?」
「ヤ…、る……ッ!!!」
あ、動き出した。
俺が重ねて神童君の発言詳細解説をすると、神童君は何かを呟いて絶句した。
そして見る見るうちに顔を真っ赤にさせた。
おおー、漫画みたい!シュ〜ッって湯気出るんじゃね?ってぐらい真っ赤っか。
「もしかして気づいて無かった?
今、神童君が居るのは普通のホテルじゃなくてラブホだよ?
大人な男女がメイクラブする為のエッチなホテルだよ」
まあ、俺は男の子とエッチする為にラブホ使いますけどねー。
神童君みたいな男の子と!
俺は神童君のウブな反応にほくそ笑む。
ラブホに気づいてなかったって想像以上に世間擦れしてないんだもん。
こんなに純情って珍しいっしょ?
俺、こういう純情な子を苛めて泣かすのだーい好き!
だってさー、そういう時に泣いちゃうのって恥ずかしいからでしょ?
恥ずかしいって、快楽と密接な関係にあると思うんですよ。俺は。
それってさー、激怒してるよりよっぽどイヤラシイ行為に近いと思いませんか?皆さん。
うふふ〜ピンチから一転、これはチャンス到来かぁ?(悪人笑い)
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