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今、俺達はラブホに居ます。
はい、注目ー。ここびっくりするとこですよー!
少なくとも俺はびっくりしたよ。急展開すぎるでしょ、こんなの。
ドラマとかアニメだったら何話か飛ばした!?って確認するレベルでしょ。
神童君がこんなあっさりOKするなんてさ。
幻滅だよ!真面目そうって思ってたのに貞操観念ユルユルのショタビッチだったなんてッ!
女装ってだけで照れまくってた神童君はどこに行ったの!?
ってOKされた瞬間にがっかりしたよ、マジな話。
まあ誘っておいて幻滅とか勝手だな!(一人ツッコミ)って話なんですけどね。
だってさー、今まで接してきて遊んでそうな雰囲気とか皆無だったのに、平気な顔で男の誘いにホイホイ乗るとか誰だって騙されたって思うでしょ?
神童君はそんな子じゃないって思ってたのになー。
選んだ服も清楚系の白ワンピだったし、絶対清純派だと思ってたのになー。
俺とは出会い目的っていうかヤリ目で会ってるんじゃないと思ったのになー。
絶対抵抗すると思ったからレンタカーまで用意したのになー。

服も買って、じゃあどこで着替えようかってなった時に俺は勇気を出して言ってやった訳ですよ。
「じゃあホテル行こっか」
って!
これ正直博打だったのに、神童君てばあっさり「そうですね」って、こうですよ、こう!
服選んでる時の方がよっぽど恥ずかしがってたっつーの!
しかもね、今も部屋に入るなり「あの…、バスルーム行ってきますっ」って買ったワンピ抱えて自分からシャワー浴びに行っちゃったんだよ!?
くっそー、あんな真面目そうな子が慣れてるって誰が思うよ!?
この分じゃ童貞でも処女でもないっていう最悪のパターン、来るかコレ!?
ショック!おにーさん、ショックでもうヤる気出ないよ〜。


って、嘘です。
寧ろ俄然ヤる気出てきました。
今まで出会い系以外で出会った子だし…って神童君に対してどこか遠慮してたんだけど、ただのショタビッチと分かった以上もう遠慮なんかしないってもんですよ。
つーか、もしかして最初にホテルのロビーで待ち合わせだったのも神童君はそのつもりだったとか!?ホテル直行的な!?
マジかー!
っとに、そのつもりならもっと分かり易くビッチ臭出してくれよ〜。
それならこっちもそのつもりで、ガンガンいくからさぁ。
…って、神童君が着替えて戻ってきた。


「神童君」

「あの…、変じゃないですか…?」

神童君がお嬢様風の白い清楚なワンピースの裾を少し摘んではにかむ。
くっそー、清純ぶりやがって!
こんな風に照れるならラブホ入るときも演技しろよっつーの。


「変じゃないよ」

ベッドに腰掛けていた俺は立ち上がって神童君に歩み寄る。
ショタビッチと判明した以上、まどろっこしい事ははもうするつもりはないし。
俺はワンピース姿の神童君の隣に立ち、腰に手を回して身体を密着させた。


「すごく似合ってる」

そこから甘い雰囲気でこめかみに軽くキス。
んで次は唇に…、って顔を傾けた瞬間、ドンッと身体を強く押されてしまった。
急だったから、おっと!って一歩後ろによろめいちゃったよ。


「急になにするんですかッ!?」

「え…、なにって…。…キス?」

「キ、キ、キ…、キスってふざけてるんですか、貴方は!?」

…ん〜?なんか反応が過敏すぎない?
俺がキスしようとしただけで、神童君てば真っ赤になって怒っちゃった。
キスって単語を言葉にするのもどもっちゃってるし、演技にしてもカマトトぶりすぎでしょ。

…ってアレ?
もしかして俺の神童君=ショタビッチ説が間違えてるって事ないか?
だって今の反応って、俺が本来思い描いてた神童君がしそうな反応なんだよなぁ。
清純派の神童君ならキスだけで真っ赤になっちゃうんだろうな〜って、俺、今日来るとき車で妄想して青信号に変わったのに中々気づかなくて後ろの車にクラクション鳴らされたもん。


「あのさ、神童君ってこういうとこ慣れてるんだよね…?
さっきも着替えるんでホテル行く事、簡単に承諾してくれたし」

俺は恐る恐る確認をしてみる。


「それが何の関係があるんですか!?
着替えにホテルの部屋を取るなんて当たり前じゃないですか!
貴方の中では着替えとキスはセットなんですか!?
それこそ可笑しいじゃないですか!!」

神童君は相当オカンムリなのか、もう凄い勢いで怒鳴ってくる。
そんな怒んなくてもいいじゃんか、ねぇ?
でもどうしよう。
こんな怒るって事はショタビッチっていう俺の予想は完璧外れって事だよな。

あちゃ〜、こんな怒らしちゃってこれからどうやったらエッチまで漕ぎ着けられっかなぁ?
なんか無理な気がしてきたぞ。

俺は軽く絶望して、目を手で覆って空を見上げた。

だって誰が思うよ?
神童君が着替えるだけでホテルに部屋を取るようなガチセレブだって。
庶民はトイレで着替えが常識でしょ〜?

 

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