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って言ってもそれはあくまで最終手段だからねー。
まずは普通にデートを楽しんで親密にならないと。
ここで無理しちゃうと次に繋がんないっていうかさ。
神童君だって今日のデート次第でもしかしたらその気になってくれるかもしれないし。
こんな可愛い子、一回こっきりのヤリ捨てなんてもったいないにも程があるって。
やっぱ人間、楽な方法にばっか頼っちゃ駄目でしょ。努力、努力ってねー。
ふっふっふー、しかも秘密兵器は車(半日レンタル)だけじゃないんだなー。
ラブホに強制連行出来るようにってだけで、今日は車を借りた訳じゃありませんー。
そんな事考えるような安易な人間に見える?俺。
あ、見える。そっかー、俺のせーじつな性格がまだ皆様には伝わってないのね、嘆かわしい。
実はさ後部車席に乗ってる大きな荷物がメインだったりするんだよねー。
あれの事は前もって約束してたし神童君もきっと……。


「げへ」

「どうしたんですか?急に」

あちゃー、ついこれからのお楽しみタイムを想像してたら声出して笑っちゃったよ。
助手席の神童君が訝しげな表情で小首を傾げてる。
うわ、こんな些細な仕草も可愛い子がすると際立つなー。
って、今は変な笑い声を誤魔化さなきゃいけないんだった。
俺はゴホンと小さく咳払いして、信号待ちで止まってた車を発進させてからおもむろに口を開いた。


「んー?
神童君とお出かけするの楽しみだなーって思って。
約束どおり今日は神童君が本当はどこまで望んでいるのか試すんだよね。
色々持ってきたけど、大丈夫かな?」

俺の言葉に神童君がパッと頬を染めて、肩越しに後部座席にチラリと視線を投げた。
後ろには紙袋に入った女性物の洋服&小道具が積んである。
しかもバッチリ紙袋の上からは畳んだ女子の制服が見えてるはず。
俺が質問掲示板であのサイト紹介した人間だって事は初めて会った時にバラしてあるし、今日は俺と二人で神童君が女の子っぽいからって我慢してた事を全部やっちゃおうって約束したんだよね。
この女装グッズは俺がもしかしたらこういう願望もあるかも…って半ば無理やり用意したもの。
神童君は用意してくれるのなら折角だから…とは言ってくれてたものの、俺は嫌ならいいよって言ってあったんだよね。
あんま無理強いして嫌われたくないし。
それに俺、根っからのショタコンで、別に女装っ子には興味ないしね。
だから車に乗ってから視界には入ってただろうに荷物の事はなんのリアクションも無かったから敢えてスルーかと思ってた。
俺が話題に出すまでは無視、的な。
出来たら最後まで話題に上らないといいなー、的な。
あれ、もしかして神童君てば恥ずかしくって今までわざとあんまり後ろ見ないようにしてたのかな?
やぁーだぁー、何この子、かーわーうぃーいー。


「はい……」

きゃー、しかも今までのはきはきした言動と打って変わって何このか細い返事!
もー、女の子の格好しちゃってもいいって事ぉー!?キャー!
・・・可愛すぎて、ついオカマっぽくなっちゃったじゃん。
あー、可愛いものを前にすると人は誰でも心の中の乙女が目覚めるのかもしれん。


「あの…!
もしかして着替えてからお店に行くんですか…?」

うわっ、神童君ってば泣きそう。
恥ずかしくって涙ぐむとか、ナニソレ可愛すぎ!!
でもここは少し引いとこうかな?
あんまりここで強固にガンガン行って、肝心なとこで逃げられちゃ堪んないし。


「ん?恥ずかしいならスウィーツはこのままの格好で食べよっか。
緊張してたら味もわかんなくなりそうだしね」

「は、はい…!」

あーぁ、嬉しそうにはにかんじゃって。
やっぱ神童君の中で女装<スウィーツは確定なのね。
あんま嬉しそうだから、ほんの少しだけど女装した神童君と「あーん」し合いたかったなぁって思っちゃったじゃんか。
さすがの俺でも超満員だろう人気スウィーツ店で男同士で「あーん」は人目が気になって出来ないからね。


「じゃあ今日は美味しいモノ食べて、可愛い小物見に行って、それから可愛いお洋服にお着替えでいいかな?」

いいともー!
なーんて神童君が言うはずもなく。
かぁーっと頬を紅潮させた神童君は、ほんの少し迷った後、小さくコクンと頷いた。
あー、もうッ本当に可愛いんだからー!!



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