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「ッ……、今のっ」

随分と長い長いキスをして。
というか年甲斐も無くクラマ君とのキスに夢中になっちゃって、クラマ君が身動きして漸く俺は唇を離した。
キスに慣れていない様子で俺以上に乱した呼吸をしながら、必死に言葉を紡ごうとするクラマ君にまたもキュンとして。
俺はクラマ君のたどたどしい言葉も待てずに、もう一度唇を重ねようとした。


「待、…てって!……今、の…ッ」

「うん?」

クラマ君が話そうと必死になって俺の唇から自分の口を守ろうとしてんのさえ可愛くて、俺はチュッチュッと色んな場所に唇を落とした。
どこもかしこも弱いらしいクラマ君は、どこにキスしてもピクンと反応を示す。
その度にキュンキュンと繋がってる部分が俺のマグナムちゃんを締め付けて、すっげー気持ちイイ。


「あッ!ん、アッ!ちょ…ッ、アッ!待て…てぇ…ッ!」

「なぁに?」

まだ全然ピストンもしてないのに、クラマ君はキスだけでまた硬くなってきてる。
それが可愛くて愛しくて、クラマ君がちゃんとしゃべるのなんて待ってられない。


「〜〜〜〜ッ!」

でもクラマ君はなし崩しにそのまま続行とはいかないみたい。
俺がキスを止めるつもりはないと気づいたのか、両手で俺の口を押さえてきた。
可愛らしいストップの仕方に、思わず俺の動きも止まる。
どうしても俺に言いたい事があるのかな?
俺は口を塞がれた状態で「ん?」って促すみたいに首を傾げてみた。


「・・・」

でもクラマ君はさっきまであんなに何かを伝えたそうだったのに、いざ促されると急に口篭ってしまった。
こんな事されたら俺もクラマ君が何を伝えたいのか興味が涌いちゃうじゃんか。
俺は口を塞いでる手をペロリと舐める。
「ひゃあッ」って声と共に塞がれていた手が離される。


「なあに?クラマ君」

俺が言葉で促して、漸くクラマ君の重たそうな口が開く。


「さっき……」

「うん」

「さっき、俺の事……」

「うん?」

なんだろう?凄く言いにくそう。
俺はもう何が言いたいのか気になってしまって、ジーッとクラマ君を見つめた。
するとその期待の詰まった視線に耐え切れなくなったのか、渋々と言った感じで再びクラマ君が口を開く。


「……可愛いって言ったか?」

「エッ!?」

思わぬ質問に、ついつい上擦った大きな声が出てしまった。
あれ!?「可愛い」ってNGワードだった!?
これぐらいの年齢の男の子ってなんだかんだで「可愛い」って言葉を嫌がる子が多いのに、うっかりしてた。
心の中じゃ何回も可愛いって思ってたから、もう何回もクラマ君に言ってたもんだとばっかり思って油断してた。
えー?でも俺、実際に口にしなかったっけ?「可愛い」って。もう言ったと思うんだけどなぁ。


「ゴメン!嫌だった!?他意は無いんだ!
ただ俺にとってクラマ君は甘やかしたい相手っていうか可愛がる対象っていうか……。
気を悪くしたなら、あやま……」


って、エエーーーー!?

ごにょごにょとした言い訳は最後まで言えなかった。
クラマ君は俺の謝罪の途中で、ギュッて俺にしがみついてきた。
ドキッと高鳴った胸が落ち着くよりも早く、クラマ君の手が俺の背中に回され今まで以上にお互いの身体が密着する。
それは想像以上に小さい手で、俺の胸は更に鼓動を速めた。
ドキドキして苦しいぐらい。


……そう言えば恋に堕ちるってこういうもんだった。
どんだけ本気になっちゃいけない相手でも、気づいた時にはもう手遅れなのが恋だった。
俺は収まる様子のない鼓動に、もうすっかり遠くなっていた恋のトキメキが蘇るのを感じていた。



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