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武器を片手に再度皆で風丸を取り囲む。

「皆っ、早く外してっ。
俺、これじゃイケないっ」

左右の足を擦り合わせ、風丸が切なげに訴える。


「皆、風丸の言葉は無視しろ!
この風丸は無かったことにするんだ。いいな!?」

染岡が風丸の前に仁王立ちになって唇を噛み締め言い放つ。

「おう!」
「はい!」

息の合った返事が返ってくる。


「いくぞ!!」

染岡の声を合図に皆で一斉に、太い首輪ではなく、細い鎖に向かう。
風丸に背を向け、出来るだけ風丸から遠い壁際の位置の鎖に取り掛かる。
だが、鎖に触れているということは風丸の行動範囲にいることになる。
しかも背を向けていたので風丸がそろそろと近づいてきていることに誰も気付かない。
それぐらい皆、必死になっていた。


一心不乱に鎖に向かっていると、突然ひょいっと一番小さく体の軽い少林が風丸に簡単に持ち上げられてしまう。


「うわあっ」

少林の叫び声にはっとして見ると、風丸が少林を抱え耳の端をはむはむしている。

「ねぇ、少林。
少林は俺の言うこと、聞いてくれるよな?」

荒い息と共に囁かれる言葉に、少林は何がなんだかわからず、叫び声をあげる。


「染岡さんっ、助けて下さいっ!!
こ、怖いっ!!」

幼い少林にとって、その蠱惑的な表情もただの恐怖の対象でしかない。


「宍戸ーっ、宍戸ーっ。
怖いよぅっ、助けてよぅっ!」

泣き叫ぶ少林の声から逃げるように悲痛な表情で皆が顔を背ける中、親友の宍戸だけがその声を無視できず顔を上げてしまう。
ばちっと目が合った瞬間、風丸の目が妖しく光る。


「ほら、宍戸もおいで?」

宍戸に流し目を送りつつ、少林の耳の形を舌でなぞる。
ちろちろと見える舌がやけに赤く見える。
宍戸は目が離せなかった。


「宍戸おぉっ」

抱えられたままジャージのジッパーが下げられ白いTシャツも破かれ、肌蹴られた上半身を捩り、必死に宍戸の方を向く少林の泣き声が耳につく。

「少林も宍戸と一緒がいいって」

そう言って少林の剥き出しの首を舐める風丸に宍戸は魅了されてしまっていた。


「少林…」

魅了された宍戸が、ふらふらと風丸のほうへ一歩踏み出す。
ひいっという少林の声がやけに耳の奥で響いた。


「俺の言うことちゃぁんと聞いてくれたら、宍戸にはご褒美あげるな」

ぼうっと目の前に立つ宍戸のジッパーを妖しく微笑んだまま下げる。

「少林に怖くないって宍戸が教えてあげて。
宍戸が相手なら少林も怖くないと思うんだ」

ね?と
宍戸を少林の方へ押しながら背後から耳に顔を寄せ囁く。

「お、俺が…?」

だがそんな悪魔の囁きもびりびりのTシャツ姿で子供のように泣く少林には勝てない。

「…い、嫌です」

少林から半歩後ずさった宍戸を背後の風丸が抱き止る。


「そう?
宍戸が少林にしたことと同じことを、俺が宍戸にしてあげようと思ってたのに残念だな。
…じゃあ宍戸はお手本になってもらおうかな?
これからするのは怖いことじゃなくて、気持ちいいことだって分かるように」

そう耳の傍で睦事のように囁くと、そのまま宍戸の耳に舌を差し入れる。

「お手本なんだから可愛い声で啼くんだぞ」

ぴちゃぴちゃと耳で音を立てながら練習中と変わらない声で囁く。

「ふぁっ、ああぁあぁっんあぁ」

宍戸の口から先輩の命令通りの啼き声が漏れるのに時間は掛からなかった。
目の前で繰り広げられる痴態に、少林の泣き声が少しずつ荒い吐息に変わるのも…。


少林と宍戸、共に脱落…。


 

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