10



「鬼道、俺、お前のことちゃんと受けとめるから大丈夫!
俺のこと信じて、さあ、来い!」
後ろから豪炎寺の抱き締められながら、円堂が鬼道に向かって両手を広げる。
いざとなったら、さっきまで怖がっていた素振りを微塵も見せないその態度も、
その言葉も、
少し上気して汗ばんだその顔もまるでサッカーをしている時と同じに見える。

でも、少しだけ視線を下げれば、
桜色した秘穴はひくひくと蠢き、粘り気のある蜜をとろりと吐きだし、その周りに艶を与えている。


「円堂、そのものだ」
アンバランスなその姿に鬼道が思わず言葉を洩らす。


態度や言葉、顔だけじゃない。
何も分からずとも、
自分を受け入れようとしているソコでさえ、
酷いことをした敵である自分さえ仲間として接してくれた円堂そのものに見える。


そう思った瞬間、鬼道の中に残っていた微かな罪悪感は消えていた。
この馬鹿なようでいて聡い友人は自分達の醜い思惑など実は百も承知なのではないかと気付いたからだ。
行為の意味は分からずとも、自分達の想いはちゃんと分かっているはず。
それでも、この友人は自分に全てを曝け出してくれている。
そんな円堂に自分の全てをぶつけたい。

そう思った。


円堂と向かい合い、自分を受け入れようと懸命な煽動を行っている円堂の部分に、対となる部分を鬼道が宛がう。
そこに触れた瞬間、円堂の顔にさらにすっと朱が差し、ほんの一瞬だけ眉が寄せられる。
でもすぐ、意図的に笑顔に戻った円堂が鬼道は愛おしくて堪らない。
そっと頬に手を触れる。


「円堂、お前を一生大切にする」
その言葉が共に円堂の中に届けばいいと、そう思いながら、
言葉と同時に円堂の中へと進んでいった。


「んん〜〜っ」
その瞬間、流石の円堂も笑顔が消え、目の前の鬼道にしがみ付いた。
極力声を抑えようとしている円堂の奥まで早く届きたい。
その一心で体ごと押し進める。
ついに円堂まで届いた瞬間、痛みを堪えて自分を受け入れてくれた円堂を力いっぱい抱き締める。
円堂から滴り落ちる汗さえ愛おしい。


「円堂、…ありがとう」
万感の想いを込めて、円堂を見詰め囁く。
まだ痛みが引かない円堂は、それでも笑顔に見える顔を作って頷いた。


円堂の傷みが落ち着くまで、このまま三人で抱き合っていたい。
鬼道は円堂の暖かさを感じながらそんなことを思っていた。
円堂に無理はさせたく無いし、自分は暖かく包み込んでくれる今の状態で十分気持ちいいし満足だ。

でもそれは実際交わっている人間であるから思えることだった。
現に裸の円堂を後ろから抱き締め、目の前で交歓を見せられている豪炎寺はもう我慢の限界にきている。

「…円堂、少し鬼道に凭れること出来るか?」
ほら、と自ら円堂の腕を取って、鬼道の首に巻き付けさせる。
対面座位の格好で少しだけ、円堂を前傾姿勢にさせる。

「…偉いぞ、円堂」
円堂には頭にキスを落とし、鬼道には睨むように目配せをする。
心持頷いた鬼道は、口を微かに開け円堂を引き寄せる。
円堂の意識がそちらに行かないようにだったが、キスをしたまま繋がれるなんて願ったり叶ったりだった。


前傾姿勢になったことで、姿を現した菊の華に豪炎寺は舌を這わす。
先程まで二本の指を銜え込んでいたそこは、些細な刺激でもひくひくと柔らかくなって受け入れていく。
舌の先を尖らせて、中に舌の先を捻り込む。
それでも足らずに同時に両手の指を差し入れ上下左右に穴を広げる。
明らかに切羽詰まった急な行動。
でも、自分を受け入れたことで不必要に円堂に傷を刻みたくはない。
どうしたって出血を免れない前と違って、後ろまで血を流させるようなことはさせたくない。
自分が穿つ後ろの方は痛みじゃなく快感だけを与えたい。
それは処女を鬼道に目の前で奪われてしまった豪炎寺の秘かな意地でもあった。


その男の意地は実は相当強固で切実なもので、
円堂が痛みが大分治まり、安堵の溜息を吐く頃には指四本を入れるのを可能にさせた。


 

prev next

 

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -