#1豪炎寺と鬼道



#1、豪炎寺と鬼道


「豪炎寺っ!お前今どこにいる!?」
電話に出た瞬間に、相手は名乗ることもせず訊ねてくる。


電話の相手は勿論分かっている。
携帯の履歴にも頻繁に出てくる名前。

――円堂守。
雷門中キャプテンで、
携帯電話の持ち主である豪炎寺の親しい友人であるその人だった。


「鬼道の家だが、どうした?」
常ならぬ様子の円堂に豪炎寺が訝しげに訊ねる。
単刀直入は円堂の常だが、それにしては声の調子がおかしい。

「鬼道の家か!
丁度いいや、今から行く!」
でも、円堂はそれには答えずすぐ電話を切ってしまう。

ツーツーツー。
無機質な音を発する携帯電話を眺め、豪炎寺は苦い笑いを一つ零す。

「円堂か?」
電話の相手を見事的中させて鬼道も豪炎寺と同じような笑みを零す。

「ああ、今から来るらしい」
豪炎寺が携帯をテーブルに置きながら、そう呟く。

「じゃあ、アイツが来る前に片付けておくか」
鬼道が床に落ちていたゴーグルを拾い上げながら言う。

「そうだな」
豪炎寺も床に散らばった雑誌類をテーブルに戻す。


二人が昼間なのにカーテンの閉められたこの部屋で何をしていたかは二人以外に知る者はない。
だが、円堂が勢いよくこの部屋に飛び込んで来た時にはもう、
二人は机に向かって雷門サッカー部の練習メニューを作成中だった。



「豪炎寺!鬼道!!」
バーンと言う効果音がぴったりな程の勢いでドアを開けた円堂は二人の名前を呼んだ後、
はあはあと下を向いて荒い息を整える。

「随分早かったな」
鬼道がふっと笑ってそう言うと、円堂はがっと顔を上げる。

「なあ、これって何の病気だと思う!?
すぐ治るかな!?」
そう言うと勢いよく雷門ジャージのファスナーを下げる。
がばっと広げられたそこには、
普段の円堂には無いものがあった。

インナーTシャツを捲くり上げ、顕になったのは、
大きな大きな二つの膨らみ。

「俺の胸何故かこんなに腫れちゃったんだよ!
俺、虫に刺された記憶も無いし、変な病気だったらどうしよう!?」

円堂が自分の腫れた胸を鷲掴みにして言う。
円堂の身長の割りに大きな手にも余るソレ。
円堂が言葉を発する度にぷるんぷるんと揺れるソレは、
どこからどう見てもメロン爆乳だった。


 

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