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「いいかい?佐久間君。
えてしてあの年代の子供はヒーローに弱いものなんだよ」

人の居なくなった食堂で何やら佐久間と基山が顔を突き合わせて密談をしている。
どうやら第一回変態会議みたいです。←


「ヒーローって戦隊物か?あの、鬼道がぁ!?」

その生活環境から小さい子供に普段から接している基山の説明に、佐久間が疑問の声を上げる。
いや、普段のビジュアルからすると、鬼道さんは十分稲妻界一の戦隊物好きに見えますよ。


「嫌だなぁ佐久間君。違うよ?
もっと広い意味でのヒーローだよ。
君にも居なかったかい?憧れの人が」

「ああ、そういう…。」

佐久間がぽんと手を打ち、ぽややぁ〜んと宙を見上げる。
また唐突に回想シーンかよ。←


佐久間にとってのヒーロー。
それはまぎれもなく鬼道自身。

幼かったあの頃、一目惚れの衝撃をどうしていいかわからず、
ただ只管に鬼道の後をくっついて歩き、鬼道のする事の真似ばかりしていた。

鬼道のやる事なす事全てが格好良くて、
同じように出来たらいいなと、
どうしたら鬼道みたいになれるんだろうかとそればかり考えていた。
鬼道の全てが輝いて見えて、鬼道が触れた物や髪の毛一本に至るまで勿体無くて放置出来なかった。←あっ


「いいかい、佐久間君。
あの年代の子供は自分が出来ない事を簡単にやってのける年上の格好いい男に弱い。
そして一度ハマると一直線なのも特徴的なんだ」

基山がふふっと笑みを浮かべる。
流石ヒロトは悪役が板についてますね。


「おおっ!今回はそのポジションを狙うってことだな!」

佐久間は興奮で思わず立ち上がってしまう。
幼かった頃、自分が鬼道を見ていたように、
今度は幼い鬼道が自分の事を憧れの眼差しで見つめるのだ。
これは男なら勃ちあがリーヨ!せざるを得ない。←漢字!漢字!!


「そう!
そしてサッカーの守君の呼び名まであった円堂君も、既に影山と出会っている鬼道君も興味のあるものと言ったら…?」

「サッカー!!」

「ビンゴ!!」

佐久間の嬉々とした回答に、基山が音村さんバリのテンションで応える。
ヒロトも佐久間も少々トゥントゥクしているようです。


「よぉーし!今回は三歳の時に比べて難易度が低いな!!
俺はビジュアル面に関してはこのチームでもトップだし、最早頂いたも同然!!」

「ふふっ、俺も外見面は問題ないし、あとはお近づきになるだけだね」

燃える佐久間に、ほくそ笑む基山。
確かにイケメン二人かもしれませんが、大変残念だと言わざるを得ない。
中身もマトモなら良かったのにね。←


「佐久間君、鬼道君が君に魅了されてもあくまで平然とね。
幻滅されたら元も子も無いからね」

「ふっ、任せろ」

基山の少々残念なアドバイスに佐久間が自信たっぷりに応える。
うん、そもそもそんなアドバイスされんなよってツッコミは無しですか。
ツッコミ不在が悔やまれる。


「待ってろ鬼道ーっ!
今度こそ添い寝してやるからなーっ!!
初めての二人っきりの夜を楽しみにしてろーっ!!」

「ふふっ、楽しみだね佐久間君」

吼える佐久間にも平然と受け答えしている基山は何気に良いコンビなのかもしれない。


二人は自信満々だが、こんなのに憧れる6歳児がこの世にいるだろうか!?
いや、居ない!!(反語
その事に二人が気付くのはあと30分後であった…。続く!


 

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