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はーい、今回から全員参加となった鬼道邸での勉強会。
管理人はぶっちゃけ萌え広がるねって感じですが、マックスは違うようです。


「ってかさー、なんで全員参加な訳?
ほんっと、やってらんないよー。
嬉しいのは半田と風丸ぐらいだっつーの!!」

仁君のお部屋でいちゃいちゃしながらお勉強していた昨日と違って、(半田君は二人の仲は承知済み)
沢山の目がある今日は流石にそんなことも出来ず、イライラして鬼道に噛み付く。

「なっ!なんで俺がっ!?」

「はぁっ!?嬉しい訳ないだろっ!?」

マックスの抗議に、呆れた顔でそれを見ていた二人が目を剥く。
…ちなみに上が風丸で下が半田です。


「…違うって言える?」
マックスが大きい目をジト目にして二人を見る。

風丸の隣には
「やっぱ風丸に教えてもらわないとテスト勉強って気分になんなくて変だったぜ」
とさっきまで笑いあっていた円堂が、
半田の前には
「アメリカ育ちのくせに英語が苦手ってツチノコ並みに貴重だよな」
「染岡ってパスとかのサッカー用語でさえ理解出来てないんじゃないかと睨んでるんだ」
と半田に昨日の報告という名目で悪口を言い続けてた染岡と一之瀬の姿がある。


「どう見たってー、半田と風丸はー、一緒にお勉強出来て嬉しいってー、顔に書いてるよ?
今ー、近くにー…むぐっ」

苛立ちの矛先を半田と風丸に向けたマックスの口を、同時に二人で押さえ込む。
偶然同じ行動に出た半田と風丸は、
お互いの目が合い、誤魔化すように照れ笑いする。


そこに鬼道の自信に溢れた声が響く。

「ふっ、マックス。
お前だってテストが返ってくる頃には今日の勉強会に参加した事を感謝するようになる。
なんせ最強の予想問題が手に入るんだからな」

そう言うとマントを翻して背を向ける。
…あれっ、制服の時はマント着けてたっけ?
まあ、そんな雰囲気ってことで。

「付いて来い」


鬼道に連れられていった先には、薄暗い部屋の中で一人瞑想を続けていた豪炎寺が居た。

「始められそうか?」

「…ああ」

鬼道の言葉に豪炎寺が目を見開いて立ち上がる。

ごくっ。
その重々しい雰囲気に息を飲むメンバー達。

そんな中、豪炎寺が爆熱ストームの体勢をとる。

え!?

皆の頭に疑問符が付く中、耐熱グローブをはめた鬼道がさっと小さいボールを豪炎寺の前に差し出す。
ぼうっと火が付くボール。
まんま超次元サッカーな光景に一同は何が起こるのか予想できない。

そのボールには持ち手が付いていて、豪炎寺はそれを提灯のように持つ。
頷きあう豪炎寺と鬼道。
そして広げられる数学の教科書。

教科書の上をゆらゆらと揺れる小さなボールと厳しい顔の豪炎寺。
すると、ある場所でボールについた火が風も無いのに揺らぐように動く。

「ここ」

豪炎寺の言葉に、鬼道がそこに書かれた問題を書き写す。
そして何事も無かったように続けられるその行為。
それは結局、数学だけでなく全教科に及んだ。
そう、今回のテストに出る範囲全て。


全教科が終わった途端、豪炎寺はぐったりと椅子に座り込む。
試合が終わった後でも、こんなには疲労困憊していないと思うほど、豪炎寺は神経を消耗させていた。

「ご苦労」

「ああ、お前もナイスアシストだった。
夕香より全然スムーズだったぞ」

労いの言葉を掛ける鬼道に豪炎寺も微かに笑って答える。
そしてがっしりと握られる手。


「・・・なんでそんな達成感醸し出してんの?」

その背後に夕日が見えそうな漢くさい握手に思わずマックスが呟く。
今までは不覚にも、あまりの意味不明さに言葉を失っていた。

「ふっ、これはな的中率八割以上という恐ろしい数字を叩き出した豪炎寺が予想したテストのヤマだ」
そう言って鬼道は先程書き写した紙をひらひらと見せる。


そう!
鬼道さんが今回思いついた効率の良い勉強法とはこれ!!

お馬鹿なのに学年9位という成績を誇る豪炎寺にテストのヤマを張らせ、
それを皆で共有しようって作戦だ。
これなら相当のお馬鹿でも、かなりの高得点が期待出来る。


「さあ、今からこの予想範囲を丸暗記してもらう!
確実に出題されると思って、死ぬ気で覚えろ!!」

「おおっ!!」


こうして鬼道さん立案の豪炎寺のヤマ張り大作戦は決行された。
テストは明後日から。
結果はどうなる!?

*)注意
危険ですので室内での爆熱ストーム等の行為は決して真似しないで下さい。
今回は監修のもと特別に許可を得て撮影しています。


 

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