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では、雷門中サッカー部二年ワースト5の順位を見てみましょう。
引き続き発表者は円堂さんです。
どうぞ!


「んーと、次は染岡か。
順位は123位。
すげー、1,2,3だって。
染岡すげーな!」

「…おう?」

染岡さんが円堂さんの見当違いの感嘆の声に首を捻る。
うん、染岡さん、その反応でいいんですよ。


「次は半田だな」

円堂さんのその言葉にマックスが勢い良く手を上げる。

「はいはーい!半田の順位をボクが当ててあげる。
二年は318人だから、ズバリ!159位!!
はい、正解きたぁー」

得意げに言うマックスに、円堂さんが順位の用紙を改めてチェックする。


「えーっと?
いや、半田の順位は157位だって」

「・・・何その中途半端に真ん中な感じ」

自信満々だったマックスは、思いっきり脱力してしまう。
ぽんと隣に居た半田の肩を叩くと、生暖かい目で半田を見つめる。

「いや、流石半田だね。
この歪みの無い中途半端感。
ど真ん中より微妙に上に居るところが憎いね。
中々こうは上手くいかないよ?」

「いいだろ別にっ!たまたまだ!」

バシっとマックスの手を叩いて半田が怒る。

でも、本当は入学してからずっと318人中150番台をキープしているんだよね。
マックスに激しく馬鹿にされるって分かってるから言えないんだよね。
悲しいねっ、半田君!


「目金も100番台だな。
えっと、176位か」

「いつもはもっと良い成績なんですがね。
前回は少し苦手分野が出題されたものですから」

ベッタベタな言い訳を目金が眼鏡をくいっと上げながら言う。

ってか、こういうウンチク君がややお馬鹿だと可愛いよね!←
得意科目と苦手科目の差が滅茶苦茶あるとイイぜ!


ここまで成績が発表され、マネージャー木野秋はちらりとまだ名前の挙がっていない二人を見る。
円堂守と一之瀬一哉。
どちらも自分と縁の深い人物だ。

――前に円堂君と一之瀬君が似てるって思ったけど、他が似てると成績も似るのかしら?

そう、彼女ははっきり言って幼馴染の一之瀬の事を心配していた。
何故なら、彼女は同じクラスの円堂の成績はそこはかとなく予想がついていたから。
果てしなくお馬鹿だと!


内心ドキドキの秋を他所に、円堂による成績発表は続く。

「次は200番台だな」

祈るように秋は思う。
せめて二人とも200番の前半でありますようにと。

「一之瀬は289位か」

はい、お約束きたー!

秋が見事にずっこける。

一之瀬君が289位なら、円堂君は何位なの?
ああ、そっか。
自分の成績は読み上げなかっただけなのね。
そうよ、そうに決まってる。
ふふ、秋ったら馬鹿ね。

木野が一人現実逃避してる中、一之瀬は土門に思いっきりがっかりされていた。

「おいおい、一之瀬。
学年でもワースト30に入ってるじゃないか。
やばいぞお前」

「でも、ずっと入院してて学校に行ってなかった上に、
帰国子女の俺がその成績って逆に凄いと思うんだけど」

うん、清清しいまでの自信が逆に凄いよ、一之瀬君。


「で、俺が314位!
どーだ!!この前のテストはいつもより成績良かったからな」

胸を張る円堂さんと、成績アップ発言にお口があんぐりな部員達。

「威張ることではないな」

「えー?俺の下に5人も居るんだぜ?
凄くないか?」

呆れた様子の鬼道さんに円堂さんが自慢げに反論する。

「もうっ!円堂君より成績悪い人なんて5人もいません!!
しかも前回のテストは欠席者が4人居ました!」

でも、鬼道より先に簡単な算数さえ間違えた円堂に夏未ちゃんが噴火する。


「どうやって貴方みたいな人がうちの学校に合格出来たのかしら?
信じられないわ!!」

雷門中大好き、理事長の娘夏未ちゃんは、お馬鹿な円堂さんの存在が信じられない様子です。

「ああ!ここ入試がマークシートだったからな」

「?」
明らかに言葉の足りない円堂の説明に夏未が首を捻る。

「いや、だからマークシート方式だと答えはどうしても選択問題ばかりになるだろ?
円堂はほら、野生に近い勘を持っているから」

円堂から後を引き継いで語り始めた同小の風丸の説明に、
夏未は今度こそ本当にがっくりきてしまう。
テーブルに突っ伏したまま鬼道の名前を呼ぶ。

「鬼道君」

「…なんだ?」

「私には無理。後は頼んだわよ」

雷門夏未、中学二年生。
ツンデレ生徒会長の最期の言葉はそれだった…。

実はメンタルが弱いと判明したマネ二人が脱落し、
次回からはドキッ!野郎ばかりの勉強大会(ぽろりは無いよに突入だぁ!


 

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