恋する最後のノート



ここはイナズマジャパン宿舎のミーティングルーム。
日本で見つかった円堂大介『最後のノート』が届いた為、皆の前で今から読み上げられようとしていた。
円堂大介の字を解読できる数少ない人物である円堂が皆の前に立ち、ノートを広げる。


「ここには、心の強さについて書いてあるんだ!」

「心の強さ?」
周りから疑問の声が飛ぶ。

「ああ!

一つ、どんな時でも押し捲る。
『ガムシャラプッシュ』

二つ、どんな高嶺の花でも恐れない。
『サソウユウキ』

三つ、特別な人だけに見せる優しさ。
『ツンデレノヤサシサ』

四つ、相手の浮気を疑わない。
『ケイタイハミナイ』

五つ、ダブルブッキングにも動じない。
『レイセイナタイオウ』

六つ、些細なことでも相手のサインを見逃さない。
『ラブセンサーヲミガク』

七つ、浮気を許す強さ。
『ホウヨウリョクニメロメロ』

八つ、相手の感情に同調する。
『ツマラナイハナシデモシンケンニキク』

九つ、相手との将来のプランを練る。
『ケンジツナショウライ』

十、自分のチャームポイントの把握。
『ココゾノアピール』

十一、振られても諦めない。
『コクハクデイシキスルコトモアル』

これが大切だってノートには書いてある」
円堂がきっぱりと言い切る。
でも、はっきり言ってサッカーと関係ない内容に、この場に居るほとんどが頭にハテナが浮かんでる。

「どう思います?響木さん」
久遠が傍らの響木に訊ねる。

「大介さんらしいな…」
懐かしさを装って華麗にスルー。

「監督」
ここで果敢に鬼道が冷静なツッコミ精神を発揮する。
まさに『コオリノレイセイ』。

「これはサッカーとは関係ないのでは無いでしょうか?
これはサッカーというより恋愛の…」「分かった!!」

鬼道の発言に被るように円堂が大きな声を出す。

「これって、新しい技を得る為に必要な心構えが書いてあるんじゃないか!?
だってこれ本物のじいちゃんの最後のノートなんだろ?
な、冬っぺ」
流石超次元サッカーの主人公だけあって円堂さんの思考も普通じゃなかった。
なんでもすぐサッカーに結びつけるとこ嫌いじゃないぜ!!

「ええ、確かにこれよ。
パパがいつもこれを見て勇気が湧くって言ってた。
でもその後すぐ、ママの運転する車が崖から落ちて二人とも…」

近くにいる冬花が肯定しながらも亡くなった両親のことを思い出し涙ぐむ。
慌てて円堂が慰めるように肩を抱く。
その二人の姿に「それって冬花父の浮気の末の無理心中だったんじゃ…」というツッコミも言い出せない。


「皆、よく聞くんだ。
今後、このノートをチームの指針とする。
恋する力を戦力に変える」
もう一人、超次元思考の持ち主登場。
教え子の記憶を奪い、自分の娘にする男久遠監督だ。

「このノートの教えを守り、全員が恋をすぐすること。
今現在既にしている者は私に名乗りでるように。
また、今後恋に落ちた者は報告を怠るな」
モテるのに結婚できない男、久遠監督の思考力は計り知れない。

「今後、ときめきパワーの強い者をスタメンとして起用する。
それからこの大会がアンダー15ということを忘れるな。
R15に引っかかるような行為は一切禁止だ。
というより触れ合いを禁止する。
触れ合ってしまうと、ある程度満足してときめきパワーが減ってしまう恐れがあるからな。
同じ理由で告白も禁ずる。
失恋はときめきパワーが多大に減少するからな。
以上だ」

「か、監督」
鬼道さんが監督のあまりのムチャブリに抗議の声を上げる。

「私の指示に従えない者はチームに必要ない」
でも、いつもの捨て台詞で一刀両断。


こうして超次元な思考を持つ監督とキャプテンのせいで、日本代表チームはときめきジャパンへと変貌したのであった。


 

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