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「くっそ〜」

悔しそうに顔を歪め、起き上がった染岡に見せ付けるように鍵を見せると、風丸はその鍵を顔に近づける。


「早く取ってみろよ」

そう言って鍵を口の中に入れてしまうと、指一本で染岡を手招きする。
染岡が憤怒の表情で、風丸の顔を掴んでも表情さえ変えない。
顔を掴んだ手を余裕の表情で舐める。


「チッ」

染岡は舐められた瞬間、大きく舌打ちするが、チャンスとみて舌を出したその隙間から乱暴に指を入れる。
指を入れると、鍵を探す間も無くすぐ風丸の舌が絡んでくる。
かと思うと指を思いっきり吸われる。
性的なそれらの行為に染岡が少し躊躇したその瞬間、切れるかと思う程激しく指を噛まれる。


「っつぅ〜」

慌てて指を引き抜いた染岡に、風丸は少し唇を突き出し自分自身の指でちょんちょん触れる。
自分の指にキスするようなその態度は、染岡に指ではなく口で取りに来いと示していた。
下唇を噛み、暫く考えた染岡だったが、他に方法も無く、目をぎゅっと瞑って風丸のそれに自分の唇を押し付ける。
すぐさま自分の口腔を風丸の舌が蹂躙する。
下唇を甘く噛まれると思わず食いしばった口が緩む。
その隙に舌を入れられ、絡ませてくる。
経験の無い染岡はその流れるような巧みなテクニックになすがままだったが、漸く自分が風丸の口から鍵を取る為にこんなことをしていることを思い出す。
困った染岡が目を開けると、キスを交わしている風丸と目が合う。
その目の挑発的な光に、染岡は覚悟を決め自分の舌を風丸の口へとねじ込んだ。
自然と舌同士が絡む。
風丸がんっ、と喘ぎ声を漏らせば、背筋を甘い痺れが走る。
自分が風丸を支配しているような錯覚さえ起きる。
さわさわとジャージの上から撫でられると、自然と欲望が顔を擡げる。
思わず目的を忘れそうになって慌てて唇を離す。


「鍵は諦めるのか?」

風丸は口から鍵を取り出し、赤い顔で大きく頭を振っている染岡に見せる。

「まだまだぁ」

風丸の挑発に染岡はギっと顔を上げるが、その顔は赤いままで息も上がっている。
その様子に少し笑みを浮かべた風丸はベッドの上で自分の両足を左右に広げる。
劣勢は覆りそうにないのに負けん気の強さをみせた染岡に風丸は興が惹かれたようだった。


「少し俺も楽しもうかな」

そう言うと鍵を浴衣の中へと運ぶ。
なにをする気だと眉を寄せた染岡の前で、んんっ、と少し上気した顔で吐息を漏らす。
はあっと大きく息を吐き出すと風丸は染岡を両手を広げて引き寄せた。
急に両手を使いだした風丸に、ベッドに倒れこみながらも染岡は怪訝な顔をする。


「おい、鍵はどこだ!?」

「さあ?
自分で探さないとゲームにならないだろ」

「チッ」

再度大きな舌打ちをすると、染岡は風丸の紐帯を勢い良く抜き取る。
風丸の肌蹴た浴衣を、風丸に覆いかぶさるように点検しだす。


「そんなところにある訳ないだろ」

くすくす笑いながら楽しそうに風丸が染岡の顔を撫でる。
顔を赤くして睨む染岡の頭を抱くように引き寄せ、囁く。


「口以外に隠せる場所なんて一つしかないだろ?」

ぎょっとしたように目を見張る染岡と目が合うと、艶然と目を細める。
風丸がわざと省略した言葉、…身体の中で、を察したのに気づいたから。
抱き寄せていた手を放した途端、体を離した染岡に言う。


「お前も脱いだら、俺に触れさせてやる」

上半身を起こし、秘部を隠すように足を組み、染岡に言う。
鍵があるのはここだと言わんばかりだ。
下唇を出し、迷う染岡に選択肢を奪うように風丸がさらに言う。


「力では俺に勝てないってさっきので分かっただろ?」

その言葉に染岡が困ったように俯き、自分の頭をガシガシ掻く。
だが顔を上げた途端、Tシャツをバッと脱ぎ捨てる。

「これでいいか!?」

上半身裸で怒鳴る。


「し・た・も」

「くそっ!」

楽しそうな風丸の言葉に、舌打ちするとすぐ下も全て脱ぎ捨てる。


「これで文句ねぇだろ!!」

自分の下の部分を隠し、顔を赤くして怒鳴る。


「いいぜ染岡。…きて」

ゆっくりと自分の足を広げる。
その瞬間、部屋の空気が一気に濃くなった気がした。
ごくりと唾を飲み込むと風丸の露になったそこを見る。
周囲より少し赤く色づいたそこは、誘うようにひくひくと蠢く。
指を伸ばそうとすると、その指を風丸が嬲る。


「濡らさないと入らない」

煽るように舐める舌が裸の自分にダイレクトに響く。
でも、そう漏らしながら舐めるから、それを止めさせることもできない。
ちゅぽっと音をたて指が風丸の口から出る。
ぬらぬらと光る指をそこに突き立てるとゆるゆると飲み込まれていく。


「んっ、んあ、ああぁぁ…」

指が沈み込むのに合わせて風丸が悦びの声を漏らす。
目を瞑っても、その声が染岡を煽る。
慌てて中を探すと嬌声が大きくなる。
その声が染岡から冷静さを無くしていく。
カチッと触れた金属を引き寄せようとするが、焦る染岡は中々上手く取り出せない。
手古摺っていると、染岡の下半身へと風丸が体の向きを変えだす。


「おいっ!」

静止の声を上げても風丸は止まらない。
お互いの性器が顔の前にある体位になると、風丸が嬉しそうに染岡のものに触れる。


「ちゃんと大きくなってる。
俺で興奮してくれたんだな」

嬉しそうな指摘に、羞恥で染岡の顔が火を噴く。
隠そうとしても染岡の手は簡単に風丸に封じられてしまう。
チュッとリップ音をさせて口で触れられれば、快感から逃げるように腰が引ける。
逃げるように体を起こそうとすると風丸の声が飛ぶ。


「探さないのか?
じゃあ、俺の勝ちだな」

その言葉にぐっと怯んだ隙に染岡の腰を抱き寄せ、風丸はじゅぼじゅぼと激しく吸い上げた。
それに居ても立ってもいられなくなった染岡は、おっかなびっくりだった先ほどまでと違って一気に二本の指で風丸のそこを掻き出す。
性的に追い詰められ、染岡はもう遠慮する余裕もなくなっていた。
染岡が鍵をなんとか取り出した時、染岡の睾丸はぴくぴくと競り上がり、欲望を吐き出す寸前だった。


「はぁっ…んッ、お前の勝ち、っだな」

ベッドに横たわり、荒い息で風丸が、染岡の太腿に触れる。

「約束通り、一緒に帰るよ。
…でもその前に」

体を起こし、染岡を見上げる。
太腿の手がゆっくりと付け根に移動する。
それだけで限界の近い染岡の身体はゾクゾクッと快感を拾い上げた。


「ヤろ?
もういつでも帰れるんだから、少しぐらい遅くなっても構わないだろ?
だから…ね?」

首に抱きつき染岡の上に体を乗せる。
耳に風丸の吐息が掛かる。
耳が匂いを感知するはずないのに、それは凄く甘く感じた。


「もう、我慢できない。
…お前だって同じだろ?」

ゆっくりと染岡の欲望の証が風丸の中に飲み込まれていく。
もう、染岡も拒むことは無かった。


最後の一人、染岡も脱落…。


 

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