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「いいじゃん、少しぐらい!
今、長年の誤解が解けて感動の場面なんだぞ!!」

俺はマックスに言い返す。
まあ半分は言葉通りだけど、半分は本日二回目の外野を忘れた照れ隠しだ。

俺がそう言い返すと、マックスはムカつく顔で「へ〜、そ〜」って言ってからワザとらしい溜息を吐いた。


「ま、ボクはいいけどね、君達がなにしようと。
付き合い始めたのは☆月なのに△月には初めてだと痛くて泣いちゃうような事をしてた事とか、
半田が酷くされるのが好きな隠れMで鬼道が好きな子にはつい鬼畜プレイしちゃう変態さんでもさ。
でも、ボクと違ってそこに居る鬼道の実妹とか、
部室でそんな事が行われてたと知った後輩達はボクみたいに気にしないとか難しいんじゃないかなぁ。
あっ、ほらほら虎丸なんか顔真っ赤で今日で性に目覚めちゃったんじゃない?
あー、少林なんか理解の範疇を超えちゃって見えない蝶々を追いかけ始めてる」

「……」

もう、ね。そんな事言われて実際後輩達の姿を見たら何も言えなくなってしまう。
虎丸は真っ赤な顔で「そんな事ないですっ!!」とかバレバレの嘘言ってるし、
少林はぽーっとした顔で宙を見上げてて隣の宍戸に耳を塞がれてるし、
栗松は今のマックスの言葉が止めとなって鼻血を吹き出した。
音無は俺と目が合うと、にっこり笑ってガッツポーズを作る。

「お兄ちゃん、私は大賛成だよっ!
寧ろBLばっちこーいって感じ!!
私はお兄ちゃん右派だったんだけど、大丈夫!
世間の主流を変えるぐらい特濃の薄い本作るから楽しみにしててっ!!」

…右?特濃?薄い本?

意味が分からないけど、これは俺達を応援してくれるってことなのかな?
俺は横で音無を見つめて険しい顔してる鬼道にこそっと、
「音無、応援してくれるって。良かった!」
って言うと、ちょっと乱暴に鬼道は俺の頭をくしゃって撫でた。


「ふーん、音無は賛成なんだ」

マックスが音無の発言を受けて呟く。
なんで音無が賛成だとお前が不機嫌になるんだよ。
俺もそんなマックスにちょっと不機嫌になっていると、マックスはもう一度溜息を吐いて俺達に口を開いた。

「音無は賛成みたいだけど、ボクは反対。
こーんな風に周囲の目を忘れてすぐ二人の世界に浸っちゃうようじゃ迷惑だよ。
ほいほい賛成してゲイが差別されないんだって二人が誤解したら、毎日のように半田と鬼道の愛の劇場が公開されるって事でしょ?
少しは隠れてやってほしいよ」

マックスが苦々しく俺達に文句を言ってくるのを、俺はちょっとびっくりして聞いていた。

「…半田」

鬼道がそんな俺の腕を少し引く。
…うん、俺だって気づいたよ。
これ、ちょっと遠まわしで分かりにくいけどマックスなりに俺達を心配してるって事だろ?
口が悪くてマイペースなマックスがまさか俺達をこんな風に心配してくれるとは思ってもいなくて少しびっくりしてしまう。
なんか驚きすぎて、…ちょこっと鼻水出た。
うん、その…本当にちょびっとだけど涙も。


「その事なんだが…」

鬼道がマックスの言葉に何かを言い掛けたその時、
それまでずっと何かを考え込んでいた円堂がいきなり顔を上げた。


「俺も反対だ!!」

きっぱりとした反対発言に、俺はまたも鼻水が出た。
まさかの展開にびっくりしてズビーって。

え?え?なんで円堂が反対するんだ?
円堂ってそういうの差別しそうに無いと思ってたのに!
どうしよう…、円堂と鬼道って仲いいから、もしかして俺も本当は鬼道の事が好きだったんだ的な!?
ストレートだと思って我慢していたけど男もイケるなら黙っちゃいないぜ的な!?
いやあああ、俺、円堂と恋のライバルなんて無理だって〜!!

俺が一人であたふたしていると、円堂はつかつかと鬼道の前までやってくる。
…ど、どうしよう俺の目の前で告白とかマジで有り得ないんですけど。


「鬼道!」

円堂が鬼道をぐっと睨む。

「お前、プールでデートしてた彼女はどうしたんだっ!?
半田と二股掛けてるのか!?」

へ?彼女…?
プールでデートって…。

俺は予想外の円堂の言葉にへなへなと力が抜けてしまう。
告白じゃなかった事に安心して、近くにあった椅子に座り込む。


ゴメン、ゴメンな!円堂!!
変な想像してゴメン!!
そして、ゴメン円堂!!

折角心配してくれたけど、その女の子…多分俺だ。

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