5*



「なっ、なんでわかったんだよ!!」

俺は思わずそう言ってしまってから、はっとして口を押さえる。

「……ほう、当たりか。
中々興味深いな」

鬼道はニヤリと笑うと俺の方にじりじりとにじり寄る。
え?あれ?
な、なんか身の危険を感じるんですけど?
俺の勘が、近づく鬼道から早く逃げろと警告を告げる。


「話はすんだみたいだから、俺もう帰るな。
じゃあな、鬼道」

俺は少しずつドアのほうへ後ずさりしながら言う。
本当は走って逃げたいところだけど、鬼道から目を離すなと勘がまたしても告げている。


「まあ待て、半田。
…なあ半田、本当に半陰陽なんていたんだな。
良かったら見せてくれないか?」

さらりと告げられた鬼道の言葉に、俺は思わずぎょっとしてしまう。
え?ええ!?今、なんて言った?見せてってアソコをか!?


「お、俺を珍獣を見るような目で見るな!」

俺に向かって伸びる鬼道の手を想いっきり払う。
捕まったらヤバい。
俺の勘はもう警告から警報に変わっていた。


「まあ、広い意味では珍獣だな。
なんだ半田、嫌なのか?」

「嫌に決まってるだろ!!」

予想外の言葉を聞いたといった感じの鬼道に、俺はがうって噛み付くように言い返した。


「そんなに嫌がるとは思ってなかったな。
……そうか、なら仕方ない」

拍子抜けするほどあっさりと、鬼道は諦めてくれた。
俺は警戒を解いて安堵の溜息をつく。
そうだよな、いくら珍しいからって嫌がるチームメイトを剥いてまで見るなんて事しないよな。
くだらないことでチームメイトと喧嘩したくないって鬼道だって思ってるだろ。

でも、チームの中の輪を大切にしてるのは俺だけだった。


「無理やりは俺も嫌だったんだがな」

ダンという音と共に世界がひっくり返る。
何がなんだか分からない内に、俺の視界は鬼道から汚い天井に変わっていた。
油断していた俺の脚を鬼道が引っ掛けて転ばしたのだ。


「った〜」

上半身を起こしながら、しこたま打った頭に手をやる。
俺の意識が痛む後頭部に行った途端に、鬼道の手が俺のジャージのズボンを掴む。
慌ててジャージを抑えようとするが、時既に遅し。
俺のジャージは勢い良く、鬼道に脱がされてしまう。
脱がされた勢いでまた俺は、床に頭を打ち付ける。
倒れこんだ途端、鬼道が俺の両足を俺の顔の方に押さえ込む。
流れるような寝技に、俺は対応なんて出来ない。
足首掴まれてるから暴れる事も出来ないし、手が伸びる範囲に鬼道は居ない。
しかも自分の足が邪魔で、鬼道の姿が見えない。
すぐそこに居るはずなのに、見えないんだ。
何をされるか分からない恐怖が俺を襲う。


「ほう、睾丸の付け根に穴があるのか」

鬼道の声と共に、触れられる指。
鬼道の指は、ぴったりと合わさった両足の付け根をちょんちょんって軽く乗せるように触れた。


「んぁ…っ」

え、なんだ今の感覚…!?
俺は生まれて初めて感じる感覚に、意識してないのに足の爪先が勝手にひくってなった。


「やっ、ちょっ!何すっ…ひぁん…っ!」

すげぇ、なんだコレ。
ソコってこんなに敏感なのか!?
自分でも触った事の無いソコは、触れられると電気が走ったみたいに勝手に体が跳ねる。
ガーっと頭に血が上って硬くなってくチンポに比べて、ソコは触られるとなんだか力が抜けてしまう。
ソコからどんどん解けてくみたいに、輪郭がボヤけて鬼道の指を受け入れていく。
どうしよう、これヤバいぃぃ!
逃げないといけないのに、足の力入んない。
このままじゃ中に指突っ込まれるかもしんない。
それなのに動くのは腰だけ。
自然と腰が、強すぎる刺激を与える鬼道の指から逃げるように左右に揺れる。


「気持ちイイのか?一丁前に濡れてるぞ」

「ふざけんな!!」

俺は鬼道の言葉にカッとなった。
鬼道の言葉で、その初めての感覚が「気持ちイイ」だって分かってしまったから。
鬼道の言葉は、女みたいだっていう揶揄だけじゃなく俺の心まで見透かしていた。


俺は抜けた力をなんとか集めて、抑えられた足を振り下ろす。
だが、鬼道は俺の反撃を見越した様に余裕で俺の攻撃を受け止める。
俺の片足を肩に担ぐように受け止めると、担いだまま離さない。
片足を掴まれて、両足の間に入られてしまうと下半身は身動きが取れなくなってしまう。
しかも今度は鬼道のしていることが、俺にも見えるようになる。


片足を担いだまま俺に圧し掛かると、鬼道は顔の近くでニヤリと笑った。

「お前、感じやすいんだな」

「ばっ」

バカヤロウと言おうとしたのに、その瞬間、指を中に入れられて続きが言えない。


「ッ、あぁん!」

ぬちゅんって呆気ない程簡単にソコは鬼道の指を飲み込んだ。

「っん…、やっ!何これ…、やだっ!」

鬼道が指で俺の内側を擦る度に、俺がまた解けてくのが分かる。
だって中から解け出たのがぬるぬるとした液体になって濡らしてる。
俺が解けて出来た粘液が鬼道の指に絡んでる音が、ぐちゅっぐちゅってアソコから聞こえる。
その音に合わせて、俺の口から甲高い声が出る。
すっかり暗くなった部室にイヤラシイ音が充満してる。


「んっ!やぁ…ッ、これ、へん…ッ!ああんッ!」

俺の顔の近くでそんな俺を観察する様に、鬼道は薄く笑いながら眺める。
俺は初めての感覚に翻弄されて、見られていることに中々気づけない。
自分を追い詰める指がなんだか怖くて、俺はいやいやをするみたいに首を振って初めて、鬼道の顔がすぐそこにある事に気づいた。
ずっと見られていたかと思うと、急に恥ずかしさが湧いてきて俺は、視線を避けるために急いで顔を背けた。
目を瞑り、そこにある鬼道の胸を強く押す。


「もお、やだあぁぁ!
は、早く退けって!!」

俺が力いっぱい押すと、鬼道はあっけなく体を離す。


俺は床に倒れたまま、はあはあと荒い息を落ち着かせた。
なんだかまだ自分の身体じゃないみたいだ。
なんかアソコがじんじんしてる気がする…。
って、駄目じゃんか、そんな事思い返しちゃ!!
俺はぎゅっと目を瞑って、アソコに行きがちな意識を逸らそうとした。


「お前、最悪だな!!」

体を起こしながら俺は鬼道を怒鳴った。
そうだよ、そもそも鬼道が変なとこ触るからいけないんじゃんか。
俺が鬼道を睨み付けると、何故か鬼道が下だけ脱いでいるのが目に入った。


「お、お前、なんで脱いでんだ…?」

自分で聞いといてアレだけど、嫌な予感しかしない。
いやいや!きっと考えすぎ!!
きっと自分のソコと俺のを見比べてるだけだって。…たぶん。


「脱がんと入れられないだろう?」

俺が必死に最悪の事態を打ち消してるっていうのに、当たり前のように言う鬼道に腹が立つ。


「ナ・ニ・を入れるつもりだ!!」

なんなの、コイツ。俺の事なんだと思ってんの!?
さっきから鬼道の予想外の行動に怒ってばっかりだ。


「ほう、半田は言葉攻めが好きなのか。
本当に変態だな」

それなのに鬼道はそう言うと再度俺に圧し掛かってくる。
鬼道に俺の言葉は通じないらしい。


「変態はお前だ!!」

俺はそのままの体勢で鬼道に思いっきり蹴りを入れる。
もう遠慮のないみぞおち目掛けた悶絶キックだ。
サッカーで鍛えた蹴りでも喰らって、悶絶しながら反省しろってんだ、バーカ!


……と、思ったんだけどな。
言葉だけじゃなく俺の攻撃も鬼道に通じないらしい。
蹴り上げた俺の足を鬼道はぱっと掴むと、俺の体の間に自分の体を割り込ませる。
そうなると俺は足を閉じることができない。
アレ…?俺の攻撃封じられちゃってない?
というか俺の大事なとこ丸見えになっちゃってない?


「ヤろうとしてる人間に向かって足を開くなんて、お前馬鹿だろう。
…それとも、誘ってるのか?」

しかもなんだこの言い草ーーーッ!
鬼道が俺の顔を覗き込んでニヤリと笑ってくる。


「だっ、誰が誘うか!!」

「さっきも散々よがって、俺を煽っていたじゃないか」

しかも俺が何を言ってもぜーんぜん堪えてない。
フッって鼻で笑うと、俺の首筋を味見するように舐めた。
それだけで俺の力は不思議なほど抜けてしまう。
さっきみたいな声をあげないようにするだけでも一苦労だ。


「そ、そんなんじゃ…んッ、ないって、ばぁ…ッ」

「ほら、やっぱり誘ってる」

くっそー、鬼道の声が笑いを含んでる。
薄笑いを浮かべたまま、俺の秘部に硬いものをあてがう。
初めて他人から与えられる快楽にふわふわと宙を飛んでいるようだったのに、それだけで地上に叩きつけられたようだった。
一気に俺の全身から先ほどまでの欲による熱が引くのがわかる。


「や、止めろって。
な、俺達チームメイトじゃないか。
頼むから止めてくれ!!」

俺はついに懇願を始めた。
こんなの冗談じゃすまない。
それは冗談でやっていい事じゃない。
「男」の「俺」に、していい事じゃない。
鬼道だってそんな事分かってるはずだろ?
でも俺がどれだけ真剣に言っても、鬼道は薄笑いを止めない。


「ちょっ、やだっ!止めろって!」

熱い塊が俺にどんどん押し付けられいく。
嫌だって俺は思ってるのに、俺の身体は少しずつそれに馴染んでいく。


「ンッ!」

ニュクンッて先端が俺の中に一気に入ってきて、俺は首を仰け反らした。
んんッ、俺の中に俺以外のモノが這入ってる。
分かるか?
俺の中に「俺以外のモノ」があるんだぞ?
それはすごい違和感で、俺は俺の体温よりも熱く感じるソレが俺の身体の中にある事に愕然としてしまった。
でも呆然としている場合じゃない、そんな事してる間に少しずつ熱いものが俺の中を押し広げながら進んでいく。

俺は鬼道の胸を押しながら必死で叫ぶ。


「抜けってばあぁ!!」

力いっぱい押しているのに、上から俺の身体に覆いかぶさるように俺を押さえ込んでいる鬼道の身体はびくともしない。
しかも鬼道はあまり堪えていないようだった。
胸を押している俺の手を、ほんの少しだけうざったそうに掴むと自分の肩に回した。


「しっかり掴まっていろ。
…少し痛いぞ」

そう言うと俺の口を自分の口で塞ぐ。


俺の破爪の叫びは鬼道の口の中に吸い込まれていった。


 

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